【幕間】アズラックー頑張る ※ 性描写有り注意
俺はアズラック。
今俺は、強敵に対面し、チャンスつかみかけていた。
相手の武器を無効化し、あと一歩で勝てるところにいる。
しかし、こちらにも武器はない。
あとは己の拳のみを信じて襲いかかるだけだ!
――よし、行ける!
そう確信した。
これまで何度となく戦ってきた相手だが、今日は勝てる!
そして踏み込んだ!
強烈な 体当たりとともに相手の距離を一気に詰める!
そう、これは、俺の能力を生かした戦いだ!!
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――時間は遡る。
俺はある女性と知り合いになる。
初めてエリナと他の転移者を、パーティーに誘ったときだ 。
他の転移者は野郎ばかりだったので、エリナは時折輝いて見えた。
――しかし、エリナには恋人がいたのだ。
本人は幼なじみと頑なに拒んだのだか、あの独自の雰囲気は、まさに恋人同士のそれだ。
ある日にとある事件が起きた!
その幼なじみと言いきっていた野郎は、暗殺により命を落としたのだ。
そのときのエリナは、もうゾンビか何かのように生気を失っていた。
それを教訓にして、パーティーにあるルールが追加された。
それは、
【いかなる時も二人以上で行動する】
ものだった。
この方針に例外はなく、そのいかなる時というのは、明らかに警備が強固であると確信が持てる場所以外に適応される。
例え、お花を摘みにいくときであろうが水浴びだろうが、湯浴みだろうが例外はなく、一緒に行動中の片方は臨戦態勢にいなければいけないものだ。
同性のパーティーならこれを行っているところは多いだろう。
だが、俺のパーティーは男女で構成されている。
その場合は、大抵そこまで徹底してるところは皆無だった。
今回の暗殺事件はその隙を狙われた。
エリナの幼なじみは確かに強かった。
伝説の勇者並みに魔法や剣を使いこなす、まさにスーパーエースにふさわしい能力を持っていた。
――しかし多勢に無勢の上に、武器も防具どころか服もない温泉に一人で入っていたところを狙われたのだ。
絶対的の強さがあるが故に、平和な世界から来た転移者ということを失念していた。
狙ったかのように、エリナと二人きりの時に狙われたのだ。
もし、二人のうち一人でも武装をしてそばに居たなら、相手にもならない程度の戦力。
なぜなら、エリナも戦力の上では俺より強いからだ。
話を聞きところによると、二人は男女の関係では無かったため、温泉に行ってる間は当然外に居るわけだ。
そのため襲撃された後に気が付いて駆けつけるが後の祭りだった。
その場にいた暗殺部隊は、エリナの怒りの猛攻によって、一人として生きてはいなかった。
そう、エリナが今みたいにふるまえるようになるまではかなり時間はかかった。
だが、エリナに影が見え隠れするようになった事と、ルールが追加されたこと以外の平穏は戻った。
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そして、場は戦いの場に戻るのだ。
――俺の相手はエリナだった。
ここまでのいきさつを説明すると、その【ルール】を使ってこの場にいるわけだから、当然今は二人とも武装はしていない。
最初は、湯浴みをするためについてきてもらったわけだ。
先に俺が入り、終わった後にエリナが入る。こうしてお互いに警戒してもらうために2人が居るのだが、今回は違う。
安全性は間違いなく確定している場所であり、警戒する必要ないのだが、
【ルール】をごり押ししてるとはいえ、すんなり付いて来てもらってるには、一種の理由でもあるが、俺の能力が関係する。
――俺の能力は【魅惑】。
異性相手に効果があるスキルであり、同性相手でも多少は作用する。勘のいい奴は違和感があるらしいが。
近くにいるだけである程度効果は出るが、体の一部が触れていると効果は増す。
この能力を使ってスキンシップを取って、エリナをどん底から立ち直らせた経緯もある。
そして、もっと深い部分に触れた時に一番作用する。
【エリナを俺の女にする】
それを実行するためにここにいるわけだ。
――そう、湯浴みの為エリナは、バスタオル一枚で体を巻き付けているだけだ。
そこで深い部分に触れるために、俺は先ほど着用した衣類を再びすべて脱ぎ捨てて、全力で体を覆いかぶさるために全力タックルをかましたところだった。
――勝ったな!……………そう思った矢先に俺は、投げ飛ばされていた。
そして俺は壁に激突してひっくり返ってるわけだ。
………そう、エリナはバスタオル姿でも普通に強かった。
「あのね、アズラック、あなたの能力は気が付いてたし、そんな気はしてたけど、あなたとはそんな関係になる気はないんだからね!」
そう言うと、武装してこちらの前で臨戦態勢でじっと身構えていた。
………どうやら俺は数分気絶してたらしい。
実は、このいきさつは事前にアリーシャに話したこともあり、渋々ながらこの状況は了解をもらっている。
問題はクレスだ。
このことは話してない。まさか中でこんな騒ぎになってるとは知りもしないだろう。
買い出しから帰ってきたアリーシャとクレスがこの状況を見た時、
アリーシャは「残念だったね………………プークスクス」と失笑しており、
クレスは「お前はまたやってるのか……………」と呆れていた。
そう、俺は気に入った女が居ればこうして魅惑を使っていたこともあり、そのたびにクレスからは雷を落とされていた。
今回は失敗だったが次こそはうまくやると思っていたアズラックであった。
――そう、これはクウトと出会う数か月前の話だった。
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