小さな女の子

 ――――立ちはだかった女の子は10歳ぐらいにしか見えない。



 びっくりして声も出ない俺たちを、全く気にもかけず話しかけてきた。


 ――だが、謎の少女の発言は、さらに驚かされるものであった。




 「あなたたち、なんでこの島に来たの? 調査をするために来た人たちには見えないけど~?」



 姫奈ぴいなを真っすぐ見た女の子は、何かを調査した人に見えたようだ。

恐らく何度も調査を来た人を見たようだな。



 「あなた、この島の子なの? お父さんとお母さんはいるの?」


 そういうと姫奈ぴいなは堂々と言葉を続ける。




 「なんで~ここに来る人間は、毎度毎回誰でも私に対して同じことを言うのかしらねぇ~」


 呆れた顔をしながら女の子は、言ってくる。


 ――ん?なんか違和感を覚える。


 むむ! 寒気がする! なんか知らないけど、やばい!


 この場に居てはいけない、俺の中の何かがそう告げる!


 第六感的な何か、気のせいかもしれないが、とにかくそう言っている。






「まあいいわ、ちょうどリソースが足りてないところだったし、

 あなた達でいいわ~」

 そう言うと、女子は右手をこちらに向けてくる。




 ――リソースってなんぞ。 とにかく逃げなければ!




 そう思う間もなく少女がそう言い終わると、急に眠気に襲われ、その場に倒れこんでしまった。






 ・







 ・






 ・







 ・



 ………ねえ、起きて。




 どの…………ぐらい…………時間がたったの…だろうか?




 暗闇の中、どこからか声が聞こえる。



 ようやく意識がはっきりしてきた。




 「次はあなたの番ね、名前はなんて言うの~?」



 俺は『阿良々木 空々あららぎ くうと』と答えようとしたが、声が出ない!



 「くうとくんって言うのね、よろしくね~!」



 ――思考を読まれているのか?



 「そうね、あなたの考えてることはわかるの。それとね、今は声は出せないけど、ちゃんと伝わるから安心してね~」



 舌が動かない。というか、この暗いのは目も開けられないからか。



 「ごめんね、秘密保持の為だから我慢してね」



 次は俺?



 「そう、くうとくんの番だよ!」



 そういえば他の3人はどうなったんだ?




 3人とは、

 宮下みやした 皇帝しいざあ

 朝倉あさくら 悠斗ゆうと

 夢野ゆめの 姫奈ぴいな

 この友人の3人の事だ。



「ほかの子たちも、同じよ~うに送り出してきたから、安心して頂戴ねぇ~」


  一体全体どうゆうことなのかさっぱりわからない。これでどう安心しろというのか。


 ――しかし、俺の心を読み取っているようだし、おそらく人間以上の存在であろう。正直不安しかないが、とりあえず信用するしかないか。



「あなた達の世界ではそうなんだけど、それにしても君だけはまともで良かったわ。他の子って下心しかないんだもん」



 ――確かに、それは思ったんだが、あえて言わなかったんだ。




 「さて、くうとくん。君には、ある世界に旅立ってもらおうと思います~」


 ある世界? 旅立つ? この幼女は何を言ってるんだ? 



 「ようじょの意味は分からないんだけど、なんかむかつくんだけど?」



 ――ていうか、お前は何者だ?



 「…………まあいいわ。あなた達で言う所の異世界の管理者をしてるんだけど、ちょっと問題が発生したんですよ~」



 問題?



 「そうなのよ! それでね、向こうに何人か送り込んだんだけど、解決には至らず、状況は日々悪化するばかりなの~」




 それはつまり、俺たちにそれをどうにかしろと?




 「そう、もちろん! 世界を正常化して欲しいのよ~。 でもね、ただ行ってもらうだけでは死ぬだけだわ~」





 なんか物騒な話だな。ラノベとかでチート能力をあげるとかそんなとこか?




 「チートって意味は分からないけど、向こうに送る人って、力をあげるとか、そう言った事を言うと、みんなそう言うのよね~」



 という事は、それだけ強い力という事か。



 「向こうの世界での住人でも、一部の人しか持って無い力であることは間違いないわね」



 ――他の3人にも力を?




「そりゃあ、ねぇ…………不本意だけど、もちろんあげたわ~。使いこなせるかどうかについては、当人次第だけどね~」




 とりあえずどんな力なのか聞いておこうか。




 「簡単に言うと、3つの力をあげています~」



 3つなのか。なんだろうな?




 「1つは異世界言語能力、どのような種族とでもお話しできる能力ね」


 まあ、これは必要だろうな。




 「2つ目は、成長上限無効の能力ね」


 上限無効ってことは、どれだけでも成長できるってことか。




 「3つ目は、能力付与のアクセサリーね」



 ……………ん? なぜアクセサリー?






 「元居る世界から、こちらに送り込む人によって、必要な能力が違うのよね~」


 続けて説明を始める幼女。



 「だからようじょっていうな! ごほん、通常の習得過程を飛ばして、必要な能力をすぐ身に付けれるほうが便利でしょ~?」


 なるほど一理ある。ただ、どうやって使えばいいんだ?


 「その時に欲しいものを望めばいいよ~。そうすれば、その人にとって一番都合のいいものに変化します」



なるほどね。何となくわかった。



 「ただし、24時間以上手元から離れると、それ以上付与することができなくなるので注意してね」



 なんだその制約は?




 「不正利用防止ってことで納得してね~。でもね、一度でも能力付与したら手元から離れても、無効にならないから安心してね~」



 まあ理由は分かった。

 ――で、転移してからまずは何をすればいいんだ?



 「そこそこ安全なところに飛ばしておくから、あとは自分で考えてね~」



 何その無責任な発言。

 チュートリアルないの?



 「チュートリアルってよくわからないけど、これでおしまい。じゃあいってらっしゃい~」



おい! まてや幼女!

ちゃんと回答しろ!!


 だんだん白い光が差し込んでくる。

 こちらの質問を答えずに話を終わらせてしまった。せめてヒントの一つや二つと訴えようとしたらこの始末。あの幼女め。





 ――――まぶしい光が差し込み、すべてが白に溶けていく。





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 光が収まると、そこは石造りの町並み。

 人気のない石畳の裏路地の隅でへたり込んでいた。




 ――そして服屋のおっちゃんに出会い、今に至るのであった。

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