君色に染まるその日まで

如月愛

第1章・雪のようで太陽のような彼女

彼女と出会ったのは雪が降っていたある日。彼女は雪のようだった。

白い髪。

透き通るように白い肌。

雪女のような綺麗な女性

冷ややかな目


「どうかされました?」

「えっ?」


冷ややかな目をした彼女でもその瞳は優しかった。

雪ですら溶かすかのような暖かい瞳。


「鍵...落としちゃって」

「それは大変ですわね。探しましょうか?」

「いやいや、大丈夫です」

「だけれど風邪をひきます。家この辺りなんです。あがって行ってください」

「はい」



彼女は優しかった。

僕を優しく包み込んでくれた。

あの時鍵を落して良かったと思った。

あの時鍵を落とさなければ彼女に出会えなかったのだから。


彼女の家は高級住宅街にあった。

彼女は綺麗で清楚な女性であったけれど瞳には少し幼さを残していた。


「あの...聞いていいいのか分からないんですけど...おいくつですか?」

「.....ふっ」

「え?」

「ふふ...あなた面白い人ね」

「...」

「白樺真雪。中学3年」


彼女...白樺真雪は僕と同い年だった。

年上だと思っていたのに。


「僕は冬井悠樹...中3です...」

「そう...同い年ね」

「はい」


和らいだ笑顔。

眩しかった。

直視できないほど綺麗だった。

雪のような彼女は太陽のような優しさを持っている。


「お家の人はいつ帰ってくるの?電話貸しましょうか.」

「親は居ないよ...」

「えっ?」

「小学生の時に亡くなったんだ」

「...ごめんなさい」

「いいんだ...君が謝る事は無い」

「今日はうちに泊まるといいわ。」

「え?」

「この雪の中あなたを帰らせる程私は...」


彼女の発言は途中でとだれた。彼女は何を言おうとしていたのだろう。それは優しさなのかそれとも親がいない僕への同情心なのか...

分からない

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