友成彩と森の妖怪

魚思十蘭南

プロローグ

私は小学5年生の頃、いじめを受けていた。

理由はわからない。

ある日突然、クラスの全員から無視され始めた。

仲が良かったはずの友達も、私を無視した。


ショックだった。

でも気持ちはわかる。

無視に加担しなければ、次の標的は自分だ。

こういう時複数人を標的してくれたらいいのだが、標的決まって1人だ。

気持ちがわかるからこそ、私は何もしなかった。

無視されるならこっちから関わらなければいい。


でも主犯者達はそれが気に入らなかったようだ。

内容はすぐにエスカレートしていった。


いないように扱われる、わざとぶつかって転けさせられる、トイレの個室で水をかけられる、机に油性マジックで落書きをされる、上履きや椅子に画鋲を仕掛けられる等々。

随分古典的な手法だったが、仕掛けられると意外とキツかった。


いじめは半年程で標的が移ることで終息したが、私はそれ以来人に心を開かないようになった。

イヤホンを常備し、常に音楽を聞き続けることで、外界との関わりをシャットダウンした。


もう他人を信じない。

そう心に決めた。

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