第一話 元世界での終わり
「カハッ」
口から血が止まらない、いや全身からだな。
手足は千切れかけ、右目は潰れた。体にいくつ弾痕があるかわからない。
「た、隊長!!」
部下の新兵達の声が聞こえるが、反応出来ない。声も出ないな。口からは血が出るだけだ。手はかろうじて動くな。
「隊長…血がとまり、ません」
「隊長!もう敵はいません!あとは国に戻るだけですよ。頑張ってください!!」
「隊長はここで死んでいい御方ではありません!生きてください!」
そうか、敵はもういないのか。目が霞んできてもう目の前の新兵の顔すら満足に見えない。気づくと周りの銃声も聞こえなくなっていた。
(俺は殺りきったのかあの凄まじい量の敵を。)
新兵達が涙を堪える声が聞こえてきた。
口では生きて欲しいと言っているが流石に新兵達も俺の死期を分かっているようだった。
(体がこんなのじゃ流石にもう駄目だよな)
ふと手元にある相棒をみた。SBSG《ショートバレルショットガン》BLACKSと呼ばれる国内でも珍しいSGタイプだ。黒をベースに所々に紅いラインがある。禍々しくも、美しい装飾のある自慢の相棒だった。
(もう俺は君を使うことは出来ないな。済まない。最後ぐらいきれいな状態にしてあげたかったなぁ)
自分の死が目の前に迫って来ている。そう身体告げている。最後の力を振り絞り最後の隊長命令を下した。
「皆、最後の命令だ…。」
「隊長!最後だ…なんて…。」
「自分の身体は自分が一番分かる。命令だ!
誰一人欠けることなく国に帰還しろぉ!!」
「了解!!!」
大きな返事を聞いて気が抜けたのか一気に眠くなってきた。
「俺は少し眠らせて貰おう。」
「分かり、ました。安らかにお眠りください。」
「ああ」
そう言って俺は目を閉じ、また開くことはなかった。
アルター帝国アルファ部隊隊長
ラストロ・エンス 死亡
その数分後エンスは何もない黒い空間で目を覚ました。
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