第2話「あいつと出会った日のことを――
私は、あの日のことを今でも思い出せる。
小学3年生の時だった。
クラス替えがあって新しい友達ができて……
そう、6月のこんな天気が不安定な日のこと。
私たちがいつも遊んでいた
公園のジャングルジムに、あいつはいた。
あいつっていうのが、
新しくできた友達は、
彼のことを知っていて
『あの子がいるから帰ろう』
って言い出した。
なんでか分からなかったけど、
彼の周りでは、いつも
不思議なことが起きるらしい……
私はそんなこと知らないから、
『一緒に遊ぼう』って声を掛けたの。
見た目がちょっとカッコよかったし
独特な雰囲気もあって、
友達になりたかったのかも……
彼は『いいよ』って
読んでた本を閉じた。
その本には『なんとか相対性理論』って
難しそうなタイトルが書いてあった。
そのとき思い出したの。
隣のクラスに『天才少年』って
呼ばれているクラスメイトがいることを。
この子のことだ! って気づいた。
どんな遊びをしたかは覚えていない。
だけど、すごく楽しかった。
それで、友達が先に帰ることになった。
私は彼と二人きりになって
ジャングルジムの上に座って
本の続きを一緒に読んだの。
私には難しくて何一つわからなかった。
だから、彼の横顔をこっそり見てたの。
なんだか、キラキラ輝いて見えたわ」
仙蔵「なぁ、希。
さっきからひとりで
何をブツブツ言っている?」
希 「え? え!?
なんで仙蔵がここに!?
っていうか回想じゃなくて
声に出してたの、私!」
仙蔵「俺だってジャンキーバーガーで
ジャンキーセットを食べたりするぞ。
それより、女子高生なら
ジャンキーバーガーじゃなくて
マコトナルドで話をしろよ。
そしてSNSのネタになれ!」
希 「私の思い出話を
ネタって言わないでよ!」
仙蔵「思い出話ね……
ジャングルジムで
思い出したんだが」
希 「ちょっとホントに
いつから聞いてたの!?」
仙蔵「いいから話を聞け!
俺もジャングルジムで
出会った子がいてな。
たしか『天災少女』と
呼ばれていた子だ」
希 「天災……少女?」
仙蔵「その子の近くで
何かしら事件が起きるから
そう呼ばれていたらしい。
その日も急に天気が悪くなった」
希 「天気が不安定だった……」
仙蔵「そうそう、俺は公園で
本を読んでたんだが
急に絡まれたんだ」
希 「絡まれた……?」
仙蔵「そうそう、二人きりになったら
ジッと
希 「睨まれた……?」
仙蔵「そして落雷があったんだ」
希 「キラキラ……輝いて?」
仙蔵「いや、メラメラ炎が揺らめいた。
落雷が植木に直撃して火事になってな。
あれは危なかった……」
希 「私の思い出って……
いったい……」
仙蔵「まぁ災難だったが、
あの子、かわいかったなぁ……
今どうしてるんだろう?」
希 「……!?」
仙蔵「ん? どうした?
顔が赤いぞ。
熱でもあるんじゃないか」
希 「な、なんでもないわよ!!」
仙蔵「?」
※この小説はフィクションです。
実在の人物、団体などとは関係ありません。
※女子高生の話をSNSのネタにする際は、気を付けましょう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます