ここだけの話をしよう!

ほしむらぷらす

第1話「あ、そういえば――」

希 「仙蔵せんぞう、今日は何の日か知ってる?」


仙蔵「突然なんだ? 佐々屋ささやのぞみ


希 「なんで、フルネームで呼ぶのよ……

   まあいいわ。

   それより、今日が何の日か

   知ってるわよね?」


仙蔵「なんだ、そんなことか。

  『私、いくつに見える?』くらい

   不毛な会話になりそうだな」


希 「不毛になんかならない!

   ……はずよ!」


仙蔵「仕方ない。しばらく付き合ってやる。

   ……ふむ、今日は6月4日……

   まさか!」


希 「そう! 今日は――」


仙蔵「6月4日、つまりは

   六四天安問事件が起きた日か!?

   1話目だぞ!!

   正気か!?」


希 「1話目って何!?

   仙蔵こそ正気?」


翔 「あのぉ……今日は虫のh――」


希 「大越おおごえくんは黙ってて」


翔 「えっ」


仙蔵「大越君を蔑ろにするでない!」


翔 「せ、仙蔵くん、ありがとう」


仙蔵「1話目から政治的な話が

   解禁されているのだ!

   当然、タケノコ派である大越君を

   守らないわけにはいかない!」


翔 「えっ」

  (言えない……キノコ派だなんて

   とてもじゃないけど言い出せない)


希 「まったく、仙蔵の

   お菓子の宗教戦争には

   付き合ってられないわ」


仙蔵「戦争……6月4日……

   そうか!

   わかったぞ、希!」


希 「その自信はどこから出てくるの……」


仙蔵「今日は、ピカンの絵画

  『ゲルミカ』が完成した日だ!」


希 「なんでそんなこと知ってるのよ……」


仙蔵「ずいぶんと社会派な

   会話になってきたぞ!」


翔 「天安問……民主化を求めたデモ、

   ゲルミカ……反戦のシンボル……」


仙蔵「タケノコ派の活躍も忘れるなよ」


希 「はぁ……

   私はただ、今日が何の日か

   当ててほしいだけなのに……」


翔 「仙蔵くんが暴走すると

   いつもこうなるよね……」


仙蔵「どうした二人とも!

   まだ始まったばかりだぞ!

   言ってけ言ってけ!

   ホロエモンの立候補とか、

   黒沢描け麻雀とか、

   社会派な会話!」


希 「炎上の香りしかしないわ!」


翔 (描け麻雀の話は

   ちょっとしたいかも……)


?? 「何か荒ぶることがあったの?

   仙蔵君」


仙蔵「ぶ、部長!」


 部室の扉の方を振り向くと、そこには一人の美人巨乳女子高生が立っていた。


希 「え、急にト書きが

   出てきたんだけど」


 部長と呼ばれたことから分かるように、彼女はこの部のリーダーであり創始者でもある。ちなみに何の部かはまだ秘密である。特に考えていないとか、そういうのじゃないわよ?


翔 (そういえば、部長の名前

   知らないなぁ……)


部長「さて、もう一度問うわ。

   なにを荒ぶるの?

   仙蔵君」


仙蔵「はい、部長!

   希の『今日は何の日?』という

   つまらないテーマを

   必死に盛り上げていたところです!」


希 「必死の方向性がかみ合ってない!」


部長「あらあら、希ちゃん。

   それはいけないわ」


 そういうと、部長は大きな胸を寄せては上げて佐々屋希の方を向く。


希 「ちょっとなんですか

   そのト書き!

   私への当てつけですか!?」


 希ちゃんは胸がないので、部長との体形差を気にしているようです。


希 「キーーーー!!」


部長「そうねぇ、

   今日は何の日か……」


仙蔵「部長は分かりますか!?」


部長「今日は

  『私の家、誰もいないの……』

   の日かな?」


希 「なっ!?」


翔 「……(優勝)」


部長「さぁ、仙蔵君、かける君。

   そろそろ下校の時間よ。解散」


仙蔵「はい! 部長!

   お供します!」


翔 「あの、僕も……

   お供します」


部長「ちなみに、

   私は家族と食事に出かけるから

   家には本当に誰もいないけどね」


仙蔵「くぅー!

   さすが部長!」


 そんな会話を続けながら、部長と飯田いいだ仙蔵せんぞう大越おおごえかけるは部室を後にした。部室には、ただ一人佐々屋ささやのぞみが残っていた。


希 「解散って言ったんだから、

   解散しなさいよ……

   え……?

   結局、何の日だったかって?

   おそアの日……」


  「え、何この空気?

   ダメだった?

   一話目からスベった?」


※この小説はフィクションです。

 実在の人物、団体などとは関係ありません。

※おそロシアの日なんてものもありません。

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