第41話 出てきたじゃん

「凄かったですっ」

何が凄かったのかは言わないが、ぐったりしているおっぱい姉さん

そういえば名前知らないな

「僕はイッキ。キミは?」

虫歯の無い歯をキラリと見せて言ってみた


「…私は生まれ変わりました。ご主人様が私に名前をつけてください」

ぐったりしていた体を一度起こし、三つ指ついて頭を下げるお姉さん

背中には蝙蝠のような小さな羽が生えていた。

あら?綺麗になったはずの背中に、ハートの三つ葉があるね。まぁ…そうなるか


「うーん…そうだな…。紫…ヴァイオレットんー? ……シオン?」

?!

「シオンですねっ!ありがとうございます」

またも見た目の色で決めてしまったよ。まあ…喜んでいるからいいのかな


「シオン、よろしくね」

「こちらこそ宜しくお願いします、ご主人様」

握手をするとシオンのおっぱいが揺れる

…両手で挟み込むように…うん、いいね。左右均等に揺らさないとね

「ところで、この魔法陣…起動中?じゃないのかな?」

ゴゴゴゴ…と変な音してるし、スパークみたいなモノも起こっている


「ですね。何かしらが出て来そうで…

とシオンが言い切る前に、陣から何かの頭が出て来た


「我を強欲と知ってのことか?…色欲。奴の手下を使って、我を呼び出そうなどと…無礼極まる」

「ご、ご主人様っ?!」

ほらね、マモンが怒って出て来たよ?

「マモンさん、ごめんね。間違えたみたいだよ」

謝ろう。でも僕は関係ないんだけどね


「小僧っ!謝って済むと思うか? アスモデウス諸共…。そうだな、この世界を地獄に変えてやろう」

大変ご立腹中のマモンさん。地獄に変えられたら、僕が困るんだけど…


「マモン…お前の心情は理解しよう。だが、地獄に変えられると俺が困るでな」

神々しく禍々しいオーラを放ちながら、マモンに近づいて行くイッキ


「?! …もしや、貴方は…神…」

マモンがさっきと変わりガタガタ震え出す

「神?…俺が神…か。お前たちにはそう見えるのか?…そんな優しいモノではないぞ、俺はな」

イッキの言葉に何かを気付いたのか、マモンが一瞬、白目を剥いて気絶しかけた

「は…はっ!申し訳ございませんっ。アスモデウスの馬鹿にも伝えます故、何卒…何卒この度のことは御内密に…」

「ああ。 …ゴメンね。僕たちの方から干渉しといて」

「いえ、それよりも****様には本当に御内密にお願いします」

オドオドするマモン。そっちは意外に話せば分かると思うよ僕


「んー、大丈夫だよ。でもどちらかと言うと*****の方に、マモンさん達は気を付けないとね。怒らせたら消滅するよ?」


マモンは失禁した。アカン…もうひと方いらっしゃるのを忘れていたと。


「マモンよ、キサマ我を馬鹿呼ばわりなど……っ?!」


アスモデウスが陣から出てくる。彼女はマモンが失禁している事に気がつくと、ドン引きした

「マモン、キサマっ?!7大罪の恥さらしめっ」

アスモデウスは誤召喚より、マモンの失態に腹を立てているようだ


「馬鹿者っ!貴様こそ…このお方の前で、よくもそんな破廉恥な格好でいられるなっ」

スケスケでネグリジェ風の服?を彼女は着ていた。もう全部見えるよね

「はあ?キサマ惚けたか?何を言って…

アスモデウスはマモンがビクビクしている元凶の小僧を見た

?!

「…こ…こ、こ、… "ジョババババーっ"

彼女は失禁…いや、もう放尿レベルで思いっきり出し切った

「ほれ見ろ。貴様も同じではないか…」

呆れて彼女をみるマモン。少しは同情しているみたいであったが

「さっさとその水溜りをどうにかせいっ!」

漏らしてるマモンがアスモデウスに言った


「あ、ああ…そうだな…

「大丈夫っ、女性の失態は僕がカバーするよっ」

イッキは雑巾でテキトーに床を拭いて、アスモデウスのお股をハンカチで念入りに拭く

「あ、ありがとうございます…。ですが、そのようなことまで貴方様がされるのは…」

顔を赤らめるアスモデウス


「よく拭かないとお肌に悪いんだよ?僕に任せときなさいっ。きっちり綺麗にグヘヘ…」

「は、はあ…。あんっ」

「…あのう、私めの方は?」

「テメーはオスだろーがっ!自分で何とかしろよボケっ」

けっして男女平等とはいかない

……

「ふむ。なるほど…アスモデウス信仰は帝國で活気があると?」

帝國か…。ライバルだよね…?!

「そうか、シオンは帝國の斥候だったんだね?」

「斥候と呼べるか分かりません。使い捨ての駒でしたから」

「いや、使い捨てであろうとコレなら間違い無いと思う。ま、僕がいなければの話だったけど」

七大罪を召喚しといて無事に済むわけがない。王国は滅ぶし帝國も…?

「帝國は王国を滅亡させた後、キミたちをどう扱うつもりだったのかな?」

「あの…この召喚陣にはですね、制限が施されてまして、我らは長い時間世界に滞在できないようになってます」

マモンがオドオドしながら言った


「ん?…これか?」

魔法陣の制限らしき式を見つけた僕は、足でゴシゴシ消してみ…消えたよ?!


「「「?!」」」


「ご、ご主人様っ?普通、発動中の陣はその様に簡単には消せませんっ」

あら、そうなの?

「我ら帰れなくなりましたが…どうしましょう?」

見た目人間じゃないキミたちを側に置くと、かなり浮いてしまうじゃん僕

「えーと、人になれる?」

「「こうでしょうか?」」

おっ?!

…お???

「なんでお前ら裸になるんだよっ?!さっきまで服着てたよね?」

現在この部屋で服を着ている者はいなかった


「あれは正装でございまして…」

「あれは勝負服でございまして…」

2人の言い訳を聞いた

「マモンの正装は…分かる。だがアスモっ、お前勝負服の意味知らないだろっ」

スケスケのネグリジェが勝負服?なんの勝負やねん

「マモンと雌雄を決する…

「ちげーよ!ちょい耳を貸せっ」

アスモデウスはイッキの口に耳を近付ける

「ふーっ」

「いやんっ」

「「……」」

おやぁ?2人の目がつめたい…


「んー、オッホン…。えっとね、勝負服でスケスケのネグリジェを着るってね…

    …という意味なんだよ?」

……

「いやぁぁーっ。恥ずかしいっ!」

顔を手で隠して蹲るのはいいけど、お尻やらアソコやら丸見えなんですけど?


「例によって…ベス…か」

床に寝そべって、アスモのお尻を眺めながら言った。しかし…まだベスに借金返してないのに、またツケる羽目になるとは…

僕の貞操大丈夫だよね?


「我らはいかが致しましょう?」

「うーん、シオンの手下になれば?」

「「承知致しました」」

「わ、私の部下に七大罪の2柱が…」

顔色が悪いシオン。あまり気にしなくても良いと思うよ?


「ご主人様、王都のギルドと学園に帝國のスパイがいますっ」

シオンが言いそびれてました感を出さずに言った

「なんでそんな大事なコトを、終わり頃になって言うのっ?!」

もっと早くに言ってよ

「七大罪様がいらっしゃいましたし…その前は…あの…アレで…」

「はい、そうですねっ! シオンさんの言い訳はごもっともです」

ギルドの方は、ジェシカ達やモニカに伝えるとして…学園か。やっぱり行かないとダメみたいだね



◇◇◇



宿は証拠隠滅した。バレることはないだろう。そして爆睡中のザジを、ロベルトの部屋の前に転がしたイッキ。

仕事はやり終えた。あとは、配下達が待つ僕の自室に向かうだけ…なんだけど

……

「うぇーい…嫌な予感がするよ。何も言わず飛び出したから、僕死んじゃうかも?」

夜明け前になっている。暗闇が気持ち薄れた頃だ。家の中をイッキは慎重に足音を消して歩く

「でも?ベッドにしれっと入って、寝てしまえば僕の勝ちさ」

イッキはドアのノブを回す

"カチャリ"

「朝帰りですか?ご…

"パタン"

お、起きてるっ?!起きてるよっ!

…ダメだ。廊下で寝たフリしよう


"ガチャ"

「ご主人様、こちらのお三方は?」

「ぐ〜。スヤスヤ」

「「「……」」」

「ご主人様、そりゃ無理だって。スヤスヤは言葉にしたらダメだろっ」

「?!」

……

「ココは何処だっ?おのれ、この僕を操るとはっ」

…作戦変更だ

「ご主人様を誰が操れるのですか?」

くっ?! 手強いな…

「おやぁ?僕は一体?キミたちは誰?…記憶が…」

まさか奥義を使うことになろうとは

……

「イッキ様、あたしと一緒に寝よー?」

「うん、そうだねマルーン。眠たいよ僕」

パジャマのマルーンに手を引かれ、ベッドに向かう僕

「ご主人様、しれっとベッドに入ろうとされてますよね?」

「そんなことないよ?エリザも早くねな…

          …あっ?!」

連携かっ?!おのれ…謀ったなっ

ガシリと首を掴まれましたよ僕

「話をしましょうか、ご主人様?」

「…そうですね」


〜〜〜



「眠たいって言ったよね僕っ!」

何が『話をしましょう』だエリザめっ。寄ってたかって搾り取りやがって!

「ご主人様、もう無理だぜっ」

「ありがとうございます…てへっ」

「パンジーさん、次は一緒に攻めない?」

「マルーンちゃんそうしましょう」

「ご主人様、私も参加してしまいましたが…お体、大丈夫ですか?」

「シオン様、それを言ったらこのアスモもですよ?」

…好き勝手にやりやがって!ま、まぁ…楽しめたのは良かったかな?


『支配様…我はいかがすれば?』

オスのマモンはドアの向こうで待機していた

「今から寝るから、昼過ぎに起こしてっ!」

『……』


〜〜〜



……

「…疲れが溜まった時って、意外に早く目が覚めるんだね」

寝起きで独り言ちる

「「「おはよう御座います」」」

「うおっ?!」

寝てたの僕だけ?そういえば、少々寝なくても大丈夫なんだっけ?

「おはよう。…でも昼だよ?」

「ご主人様、お昼の食事に行きましょう」

「シオン、お腹空いたの?」

"クゥ〜"

「す、すみませんっ!」

「いいよっ。僕も減ったから食堂に行ってみようよ」

一行はドアを開け…

"ゴンっ"

「…なんでキミは寝てるのかな?」

開けたドアに頭をぶつけたマモン

「ひ、暇でしたので…ついっ」

…ごめん。キミだけ仲間外れにしちゃって

「マモンも食堂に行くよ」

「お供しますっ」


〜〜〜


「これはイッキ様、おはようございます」

バドラーが挨拶してきた

「おはよう。パパンと兄さんは?」

「領地の見回りを兼ねた、ロベルト様の勉強にお出かけになられてます」

そっかー。領主って…めんどくさっ

「何か食べてから、王都に向かうよ僕。学園に行くからしばらく帰ってこないよ?」

「そうですね。そうなるかと存じます…。王都に着く頃、月も変わるでしょうしタイミングが良いかと」

来月か…もう直ぐだね


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