第19話 黒夢の悪夢

宿の客や従業員…生き物は全て眠らせた

まぁ…当然動いているのは俺たちだけだ。

あとはジェシカを確保して、ギルマスに渡すだけだが…

簡単な仕事だな。移動中だけ人の目に気を配ればよい…

アイツらが言ったように "楽勝" だ

さっさと終わらして飲みに行くか…


宿に乗り込んだ黒夢はジェシカの部屋にたどり着く


"カチャカチャ…"

……

「ザッツ、鍵開けれるな?」

「ら、ラジャー」

おかしい…。いつもなら直ぐに開けてしまうザッツが、時間かけ過ぎている…

鍵が特殊なのか? いや、そんなはずは無い。此処は普通のありふれた宿だ


「リーダー…ごめん。鍵が掛かってなかった…」

「「「……」」」

ま、まぁ…そんなこともあるだろう


「俺が見張る。ジェシカを確保してこい」

「「「了解」」」

俺は扉の前に立ち、手下をジェシカのところに向かわせた


「スゲェ…。スケスケの服を着てやがる」

「あぁ…俺こんなの見たことないぜ」

「どうする?あ、味見してもいいかな?」


……

手下がジェシカを連れて出てこない…

アイツら何もたついてやがるっ

「おいっ。早くしろっ」

俺は声を落として怒鳴った


「なぁ…ジャンケンで決めないか?」

「ばっか、運ぶ役は俺だったろ?」

「ジャンケンがいいと思うなオレも」


……

アイツら金品を漁ってるんじゃないだろうな?

冒険者とはいえ、シルバーブレットはCランクだぞ?俺たち黒夢の方が、装備も金も遥かに上だろうがっ。

「バカども、カネ目のモノは置いてこいっ」

この仕事の報酬もそれなりにあるだろうがっ


「よし、じゃ俺が運ぶな」

「「くっそ、初手からチョキかよ」」


『……カネ目のモノは置いてこいっ』


「「「?!」」」

「カネ目のモノは置いとけ?」

「なぁ…このスケスケの服、高いよなきっと」

「あぁ、そうだろうよ。

       …よーし、ジャンケンだっ」

「今度はグーだな」ボソリ


「「?!」」

「いや、独り言だよ。気にすんな」


……

ざけんな…ふざけんなよっ?!

たかだか女1人拐うのに、なにマゴマゴしてるんだっ!

「お前ら、いい加減にしろよっ?!」

ついつい声が大きくなった


『すまんリーダー、直ぐ連れ出すぜ』


馬鹿どもがっ。早くしろっ早く!



「リーダー痺れ切らしたぞ」

「あぁ、おこりん坊だな…」

「んー、まだオシッコ臭いね…」

「どうする?もう連れ出すか?」

………

……

?!は?!

「だ、誰だお前っ?!」

1人増えた?おかしいな…と思ったら、小僧がジェシカの股に顔を埋めていた

「う、裏山…いや、どっから入りや…

「シャーラップ! ちょい黙って!!

うん。甘くないね…。やったねジェシカ、糖尿じゃ無いみたいだよ」

僕は舐めるお医者さん。いや、糖尿判定士というべきかな


「どうした、馬鹿どもっ?! うをっ?!」

1人追加で現れた

「貴様、何者だ? 俺たちが黒夢と知っても邪魔するのかぁ?」

リーダーらしき男が威圧する


「僕? 僕の名前は江戸川『ご主人様、いろいろ拙いですよ』…の童貞さっ」

ちっ、名乗りのシーンをエリザに邪魔されてしまったよ

『ご主人様は童貞じゃないですよね。むしろ槍チンですよね?』

あぁ、エリザ…なんて上品なギャグだ。

惚れちゃいそうだよ僕


「冗談はさて置き…僕はドクターKだ。(一樹のKだよ) 鈍ったら、"どんだけ〜"になるから滑舌は良くしろよな?」

人差し指を立て、左右に振ってみた僕


「「やべぇ…この小僧、

…やべぇぜリーダー」」

「狼狽んな馬鹿野郎っ! 俺らは黒夢、

ランクAだぞっ」

何がランクAだっ。牛の等級A5ランクは確かに旨いが…なかなか食卓に出なかったんだよっ!馬鹿野郎っ


「僕の…いやKの一族はね、AVに喜んで出演したオヤジや、真面目なフリして…アウトな下着や小道具を隠し持つ駄目オヤジ…更には車庫にダッチワイフを30年以上、大事に隠していたジジイとか、馬鹿ばっかりなんだよ…ううぅ… うわーんっ」

_| ̄|○ ガクッ


「「「………。」」」

「確かにヤバイな…。それもかなり…」


「ご主人様、お戯れはそろそろ…」

完全に姿を消して、気配も絶ったエリザが現れた

真っ黒の修道服…やっぱりエリザによく似合う

「うむ。ちと若気の至りでな…」

「何歳ですか貴方はっ?!」

いいツッコミだ。目の前のジェシカにツッコみたくなるじゃないか…。


「あ、あの女ですよリーダーっ」

「ほう…。こいつぁ極上の女だな」

おもわずヨダレが垂れたリーダー


「当たり前だのコンドームっ! 僕のエリザが極上以外に何があるってんだっ」

左手の掌で鼻を下から突き上げた僕


「いいか、よく聞けよ…ぅ…。

     …なんか鉄っぽい味がするよ?」

「当たり前です、ご主人様。鼻血が出てますよ?…それもかなり」

マジかっ?!

袖で拭ってみた僕。

「うわっ、こりゃひでえや…」

……

「リーダー、今回は辞めましょうよ…」

「何弱気になってんだザッツっ! いいか、俺ら黒夢は完遂以外ねーんだ。分かったか」

リーダーとザッツ?が言い争う


「嫌な予感がするんですが…」


……

「さあて、鼻血も止まったし…エリザ、やっておしまいなさい」

エリザに殺れと指示をだす僕


「皆殺しですね?」

「あぁ、コイツらには価値がない。

それにジェシカを…ジェシカのおっぱいを…

      …このおっぱいは僕ンだっ!」

「違いますね」


……

「それでは、私エリザがお相手します。

         …誰から死にますか?」

息をするぐらい自然に言ったなエリザ…

コケモンマスターの僕は嬉しいよ


「馬鹿がっ、体がデカいからって俺たちに勝てると… "ブシュ"

手下の1人が消えた…。辺りに血の池をつくって


?!

「おいっ?! なんだ今のっ!」

「知らねえ…分かんねえよっ」

「お前ら、見えたか?何が起きたんだっ」

1人欠けた黒夢が騒ぐ


「あら…コレでもかなり手加減しましたのに…。…どうしましょうか?」

エリザが僕を見て困った顔をする


「ふぇ? あぁ、もうそれ以下には手加減ムリ?だったら別にいーんじゃないか」

くそっ、このおっぱい枕…高反発だからか、収まりがわりーぞ


「だ、そうですよ? みなさん、準備はいいですか?」

槍を構えるエリザ

「や、槍を持ってやがった!」

「あ…あ、あ。さっきのは槍…だったか」

黒夢が自分に納得するように言い合う


「はい? 先程はタダのビンタですけど?」

エリザが頭を傾けて言う

「「………」」

「ビンタだとぅ…」


「そうですねっ…と」

"ボンっ"

今度は頭だけキレイに亡くなった

首から下の不完全な体が、タタラを踏んで倒れる


「あと2つ〜。あとふた…

"ベシャッ"

       …あら?あと1つ〜」

早いな…。せっかく膝枕で落ち着いたのに…

「ダメだよぅ…。観賞用の枕が決まったの

        …しょんべん臭えっ?!」


「当たり前ですね。ジェシカを着替えさせたの私ですが…拭いてませんから」

なんだって?! よし、じゃ僕がキレイに拭いてあげなくちゃ

……

「ご主人様?」

「いや、どしたね?エリザくん…」

て、おいっ?!リーダーがいねえじゃん

「リーダーが逃げたよーぃ」

エリザに伝えたよ僕


「逃げた?何処にでしょうか…

   2、3kmなら完全に圏内ですけど?」

あ、そうなんだ。ならいっか…

「でも、どーすんの?」

エリザに尋ねた


『グラビティ・デス』


宿の外でペチャって音がしたよ

「終わりましたよご主人様」

「ご苦労さん。コッチも終わったよ」


エリザの目を盗んでこっそりとジェシカを拭いた。吾輩、満足でアール

……

「ご主人様〜っ?!」



この後ジェシカの横や上で4戦させられたよ



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