長い独り言
その日の夜、俺はローリングさんに作ってもらったベッドに横になった。
やはり床に寝るのとは快適さに天と地ほどの差がある。
俺は寝床について数分で眠りの海へと沈んでいったのだった。
翌朝カーテンの隙間から差し込んでくる日差しで目が覚めた。
ウーンと身体を伸ばす。
目覚めの良い朝。こんなに安眠したのは久しぶりの事だった。
肆部祭のあの日以降気が休んだ事など殆どなかったのだ。
俺はやる事が無いのでとりあえず研究をする事にした。
やる事が無い時は研究をするに限る。
何を研究しようか……
やはり元の世界に帰る方法がいいな。
もうあの世界に帰る気など無いのだがこの世界に来てしまった原因や帰る方法は科学者として知っときたい。
「やはり時空間転移システムに何か不備があったと考えるのが無難だよな……
ではもう一度作り直してその不備を探しだし、改良すれば…
いやいや、例え改良してもこの世界とあっちの世界が繋がってしまった理由が分からなければ意味が無い。
時空間転移システムはあくまで同じ世界の時間や場所を移動するシステムだ。
違う世界同士を行き来など出来ない筈……
そもそも異世界なんてものが本当にあるのか?
いや、今更それを疑うのはナンセンスだろ。
実際自分の身でそれを体験しているんだから…
とりあえず時空間転移システムを作り、改良しながら違う世界同士を繋ぐ研究も平行して行っていくか…
時空間転移システムの設計図は頭の中に記憶している。
問題は材料……
オリジナル魔法陣を使えば作る事が可能だ。
しかし魔力を補充する方法が今の俺には無い。
どうにか誰にも頼らず魔力を手に入れる方法は無いのか……
いっその事人工的に魔力を作り出す方法を探してみるか?
例えば電気を魔力に変換する方法を見つけられたら……
そしたら一度発電機を作ってしまえば自由に魔力を手に入れられる。
雷の魔法だってあるんだ。
それは言い換えれば魔力を電流に変換していると言えないか?
それならばその逆も出来るのではないか?
電流を魔力に変換……
先ずはその研究が最優先だな。
その研究が実れば生活の大部分が魔力で成り立っているこの世界でもう少し生きやすくなるし……
もしかしたらそれが何か商売に繋がるかも……」
ここで俺は自分がブツブツと長い独り言を呟いていた事に気がついた。
熱が入ると時々やってしまう悪い癖だった。
まぁ今は自分の部屋に自分1人。なんの問題も無いのだが油断して人前でこれをやってしまうと怪訝な目で見られてしまう。
しかも考えながらの独り言だったのでもう数時間もたってしまっていた。
気をつけなければ……
その時“グゥーッ”と腹の虫が鳴った。
起きてから何も食べてない事を思い出した。
俺は雷魔法の教本を探しがてら何処かで飯を食おうと家を出る。
軽く飯を食べ、本屋で雷魔法の事が記された本を何冊か購入した頃にはもう日が暮れてしまっていた。
夏も終わり秋になり、日に日に日が短くなっているのだ。
家に帰ると郵便受けに一通の手紙が残されていた。
送り主はローリングさんだった。
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