ぬらりひょん 弐
第1話 打ち明ける
ここは、
ヒトとも接する歓楽街の界隈に、ほんの少し接しているのだが。ヒトから入るには、ある程度の資質を持つ者でしか訪れるのは叶わず。
たとえばそう、妖が好む霊力があるとすれば。
元地獄の補佐官だった猫と人のような姿をしている店主の営む小料理屋、『
どうすべきか。
いや、どうしようもない。
同期の
「子供じゃないんだから……」
「……だって、先輩達」
「だって?」
「私が
そう、田城がむくれているのは。
だが、世間体を省みるとどうすればいいのか散々悩んでいたのに。今日、美兎と沓木に話したら、二人もと分かると今のように膨れっ面になったのだ。
「まあ、普通に言えるわけないじゃない?」
「……ですよね?」
ちなみに今は、屋上の休憩室ではなく。ランチで外に出て個室を借りているのである。
「〜〜……そうかも。そうかもしんないすけど!? 世間狭!!」
とりあえず納得はしたのか、テーブルの上に突っ伏したのだった。
「まあ、偶然も偶然よねえ? 普段一緒に働いてる面子が、揃いも揃って妖怪とお付き合いしてるだなんて」
「むぅ〜〜。あのイケメンさんが、妖怪? 言われちゃうと納得しますけどぉー?」
「ちなみに鬼よ?」
「先輩食べられちゃうんすか?」
「まだよ、まーだ」
「えー?」
風吹は彼女に、性行為をすると人間としての体の作りまで変わってしまうのを伝えたのだろうか。
風吹のことだから、きっと伝えたはずだが。
「
「あ、はい。合ってます」
「え? 不動さんと同じ?」
「ううん。妖怪の種類には当てはまらない妖怪かな?」
「なにそれ、面白! ちゃんと会ってみたい!」
「お、驚かないでね?」
「うーん。頑張る」
とりあえず、と田城は手を叩いた。
「?」
「どしたの?」
「美兎っちの彼氏さんのお店行きたい!」
「え……い、いけど」
「? なんか問題ある?」
「
「あ、そっか。……ん?」
「ん?」
何か思い出したのか、田城は首を捻った。
「今度は何?」
「いえ!……実は、不動さんとキスしちゃったんですけどぉ」
「けど?」
「翌日から、寒気とか薄っぺらい幽霊みたいなのが視えてきたんすよ」
「あら、じゃあ」
「多分、大丈夫っす」
つまりは、風吹の妖力をもらったことで。いわゆる
「んー、じゃあ。今晩あたり行ってみる? 残業するくらい溜め込んでいないでしょう?」
「うぃっす!」
「はい!」
いわゆる女子会となったので。少し、楽しみだった。
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