第十四の屍

 活きのいい屍。そう言われて私が思い浮かべたのは、出来立てほやほやの死体だった。つい先ほどまで冗談を交わしていた相手が、何度となく物言わぬ肉片へと化す様を見てきた私にとって、それは地獄絵図の再演でしかない。

 だがここ最近大きな戦争があったかといわれれば、別段そんなことはなかった。

 では?そう考えたとき頭をふとよぎったのは奴隷の文字だった。奴隷を殺すために飼っているのか?いくら奴隷だとはいえ、それではあまりにもむごたらしい。

 次に頭をよぎったのは死霊術しりょうじゅつ、いわゆるネクロマンサーというやつだ。死した体に無理やり魔力を宿したり、動かしたりするという行為は、死者への冒涜にほかならない。

 つまりベルモント活きのいい屍専門店という店は、私が考えうる限りにおいて、非人道的であるという結論に達した。そしてそれは今でも変わっていない。変わってはいないが、絶対的に忌むべきものであるという考えは消えつつある。

 「そう言っていただけると私としても嬉しいです。敗残兵の小指さん、今日もあなたの新しいお家探していきましょうね」

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