第1話 抜け殻の僕

出会ったのは、高校一年の夏だった。

この頃は自暴自棄になっていた。


僕の人生、生まれてからずっと退屈だ…。 そう強く想うようになった。


趣味無し、友達、彼女いない、家族とは決別の生活を送っている。


何かに熱中するとか、誰かを信頼する、好きになる気持ちが分からない…。


というより、興味が無くなってしまったんだと思う…。


そのうち一人殻に閉じこもっていた。


いつも虚ろな表情の僕を見て周囲の人たちは思ったんだろう、暗い、無口、変な人、と。


だけれどそれでいい、どうせ将来に希望なんてない。


気がつけば、僕は人を寄せ付けない孤独へと進んでいった。


幼い頃から勉強は出来た、だからといって誰かに認めてもらったことはないが、

自分の存在意義を示すため学年の試験では常にトップを保った。



今日もいつもと何の変わりない学校生活。

僕は決まって窓側の席を選んでいた。


それは、この退屈な授業の合間に窓の外を眺めることがたった一つの気晴らしになっていた。


この日は午前中のみの授業。


僕は4限目終了になると、すぐさまテキストを片付け、居心地の悪い教室を颯爽と抜け出した。


帰宅途中、何気なく空を見上げた。


6月に入り季節は本格的に夏へと移り始め、

背中にジリジリとした熱が伝わるのを感じる。


夕立雲が見える。

    午後には雨が降りそうだ…。








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