死神の寿命
布団カバー
死神の寿命
ある発明によって人は死を克服した。
その発明は不可視の死神を見れるグラスだった。
グラスを手にした人々は、死に追われる積年の恨みを晴らすべく武器を手に取り次々と死神を殺していった。
特殊な力を持つ死神が奮戦し一時は拮抗していた戦況であったが、戦いの経験が圧倒的に豊富な人類に対して同族で殺し合いなどしない死神が劣勢となりついに最後の死神も死んだ。
ついに死を克服し人々は国、宗教、価値観を超えて歓喜した。
しかし、百年ほど立ってある問題が社会問題となった。
「死ねない」
死神の絶滅戦争の頃から一部の人から懸念されていたが、ほとんどの人が戦いの熱に浮かされ耳に入っていなかった。
死ねないことで発狂した人々が狂気的な日々を送るように世界は荒廃していった。
だが、ある人が言った
「そうだ 死神を作って死なせてもらおう」
その話は瞬く間に広まり、時間が余っている人々が久しぶりに意味のある行為に躍起になった。
簡単なことではなかったが、数千年が経ち奇しくもその日は死神が絶滅した日と同じ日に完成した。
そして待ちに待った死神が起動し、人々は歓喜し絶頂した。
一人また一人と天に召されていき人類は喜びながらいなくなっていった。
残された死神は存在意義を失って途方に暮れて空を見た
だれかが言った
「そうだ。俺たちを死なせてくれる存在を造ろう」と
終わり
死神の寿命 布団カバー @hutonover
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