閑話1 (残虐性あり)
僕の姉さんは#頭は__・__#物凄く良い。日本で一番の大学の首席。さらに卒業後、大手IT企業に入社し、わずか一年で部長という肩書を手に入れた。しかし、何もない所でこけるわ、空気も読めないし、斜め上の回答を出してきたり……とにかく残念な人だった。そしてそんな残念美人な姉に恋して早18年。4歳の頃から姉さんにしか興味がなかった。僕はそもそも薄情な人間だ。親が亡くなったり、友達が大けがしても何も感じない。けれど姉さんだけは違った。彼女だけが特別なんだ。
そんなこんなで姉さんが大学卒業後、一人暮らしをしたいと言い出した時は大変だった。とにかく必死につなぎ止め、結果二人暮らしをしていた。姉さんは言わば箱入り娘。姉さんの願いはなるべく叶えたかったが、家事だけはさせられなかった。そして僕が大学を卒業した翌日、姉さんの仕事を辞めさせる準備をしていた時、事件は起きた。姉さんが殺されたのだ。
犯人は姉さんの親友と名乗っていた女。馬鹿で欲望丸出しのクソ女だ。姉さんのGPSが彼女の家で途切れてることからすぐわかった。本当に馬鹿だ。
「ねえ?なんで姉さんを殺したの?……どうして僕の唯一の愛しい人を僕から奪ったんだい?ねえ、死より辛いものって何か君にはわかる?分からないよね……だって君は#いつもいつも__・__#苦しみを味わう前に死んじゃうんだもん」
今の僕はきっとものすごく冷たい目をしているんだろう。いや、元に戻っただけか。姉さんがいないのに自分を偽る必要性なんて無いもんね。
「ご、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……許して……お願いよ、ゆるして!!」
ああ、ゴミがなんか叫んでる。本当にうるさいな。今最高に機嫌が悪いのになんで煽るかなぁ。ほんと、馬鹿なクズだ。
「許すわけないじゃん??」
「そ、そもそもあの女が悪いのよっ!なんで彼女ばっかりあなたに愛されてるの?!どうしてあなたは私を愛さない?!私はあの女よりも可愛いし、お金もある。なのにどうして血の繋がった姉しか愛さないのよ!!!おかしいでしょ?!だから彼女がいなくなればいいのよ……そしたらあなたは私を愛してくれる……」
「君さ、名前なんだっけ?それにどうしてそこら辺のクズが僕に愛されると思ったのかな……そこまで馬鹿だったの?」
彼女が唖然としている。やっと現実が見れたようだ。
「は……はは……ははははは……そうよね、彼女を殺すだけじゃ無理だったのね……なら!!あなたも一緒に死になさいっ!」
あ、それはいい。ぜひ僕を殺してくれ。
グサッ!と音がした瞬間腹に強烈な痛みが走った。ああ、姉さん。君はいつもこんな痛みを味わっていたのかい?ならば次こそは絶対に誰にも殺させない。
そう、決意しながら僕はゆっくり眼を閉じた。
☆
「また失敗したの?流石に今回が最後だよ……次死んだら転生は不可能だからね。世の中の関節が外れちゃうよ……分かった?レイ?」
本に出てくるような神々しい輝きを放つ少年。金色の髪に優しい緑の瞳。そんな彼が顔をゆがませレイという名の少年を見つめていた。
「分かってる。次は絶対失敗しないさ。流石に地球での転生生活は飽きた。だから最後は僕の世界で頼む」
レイは軽く笑いながら少年に語り掛ける。
「はいはい……じゃ、ちゃんと彼女を死なせずに終わらせろよ」
「もちろんだ」
短い会話を終わらせた二人。ゆっくりレイは瞳を閉じながら再び深い眠りについた。
は?在しない悪役令嬢になれと……?その役お引き受けしたいと思います! 西崎優愛 @yua_nishizaki
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