第1話 一方通行
はじまりはそう…
採用試験から始まっていた。
私の入った会社は正直
あまり興味がない職種で家が近いっていう理由でただなんとなく受けた会社だった。
結局行きたかった就職先は落ちてしまって
今の会社に行くことにしたけど
なぜかやだなっという気持ちはなくて
あの気になる先輩がいるからとちょっとわくわくしていた。
でも
「私の好きになった人は既婚者でした」
先輩の左薬指にはピカピカな結婚指輪が光ってた。
あー
既婚者なのか…
入社初日から私の恋は終わった。
だからもう諦めたつもりだった。
既婚者は無理だわーって。
先輩とも部署が違うし、この恋は心の奥底にしまって忘れてしまおうと思った。
そんな恋を忘れかけた
1年後…
11月
私の部署が繁忙期に入り、毎日残業続きの日々だった。
「おわんねー」
高橋さくらは来週使う企画用スライドに詰まり、つい本音が出ていた。
「頑張れ高橋…企画が通るかはお前のスライドにかかっている…」
先輩の渡辺は華麗なタイピングをしながらさくらの会話を返す
「今ハードル一気上がってません???」
「気のせいwww」
「あ…まだいたんだ」
すると部屋に藤間が入ってきた。
「渡辺ーあまりさくらを残業させないくれよ…。俺が採用で取った子なんだから」
「それは無理な相談だな」
渡辺は大きくバッテンをしながら答えた。
「まだ帰れないのか?俺飲みに行きたい。」
「え!!行く!!!」
エクセルを見すぎて死んでいた渡辺の目が一気に輝いた。
「さくらも行かね?」
「え…いいんですか?」
そして初めて私は好きだった先輩と飲みに行くことになった。
つづく
かなわない恋だけど君が好き @koyomisa-n
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