第5話 天照大御神と柊の繋がり
理解しがたい事が連続して起きているせいで、俺の脳はショートしてしまい呆然としていると、水上(?)さんが続けて話し始めた。
「うんうん、相も変わらずいいリアクションするねキミは。」
「ミカミちゃん、この方が混乱してるんですから、ちゃんと説明してあげてください。」
「わかってるってイリスちゃん。」
すると、水上さん(?)が3度目の自己紹介から始めた。
「柊君、改めに改めて、正真正銘最後の自己紹介をさせてもらうね。私の本当の名前は、
「か、神様?それに天照大御神って……じゃあ、あの一緒に働いていた水上さんはいったい誰なんですか!?」
「さっきも言ったはずだよ柊君、キミと一緒に過ごしていた私も
「な、何のためにそんなことを?」
「そんなの決まっているだろう。他の世界からの許可のない干渉や邪なものを監視するために、下界に降りて人間に紛れてるのさ。」
驚きの事実が語られた後、さっきまでのおちゃらけた表情から一変し、急に神妙な表情になって
「実はね、キミを殺した千葉君にはこちらの世界のモノじゃない邪悪な異物が憑りついていた。」
「え!?」
「本当はその邪悪からキミを守るのが私の役目だったんだ。でもね、その邪悪を見つけたときには、もう千葉君の負の感情と一緒に力を増してて、私の力でも討ち払えなかった。何度未来を見ても、何度未来を変えようとしても、キミを助けられる未来がなかった。」
そして語り終えると、ミカミさんは俺の前で正座して深々と頭を下げた。
「本当に申し訳ないことをしてしまった。キミの命を……そしてキミの
「い、いやいやいや、あ、頭をあげてくださいよ。ミカミさんは神様なんですよね!?そんな土下座させてたら俺に罰が当たりますからっ!!」
土下座してきたミカミさんに、慌てながら頭をあげるようにお願いすると、ミカミさんはゆっくりと頭をあげてくれた。だが、その表情から神妙さは消えていない。
「自分の国の、大切な人間一人……約束一つも守れなかった私は神様失格だよ。」
「あ、あのミカミさん?」
「何かな柊君……。」
俺はひどく落ち込んでいるミカミさんに、さっきから気になっていた言葉について問いかけてみることにした。
「お、俺が死んだのはもう仕方がなかった出来事として受け止めますから……そのさっきから
「それを語る前に、キミの先祖と私の深~い関わりを話さないといけないね。実は私、キミのすご~く前の先祖と繋がりがあってさ。……ぶっちゃけた話、その時はまだ名もない霊的な存在だったんだけど、キミの先祖さんが私を神と認めて信仰してくれたおかげで、こうして八百万の神の頂点にいるんだ。」
それを語っているミカミさんの表情は昔を懐かしんでいるようだった。
「で、キミの先祖の信仰心のおかげで神になれた、そのお礼に何かやらせてって言ったら、自分の子供たちを守ってやってくれってお願いされてたの。それが私がキミの先祖さんと交わした約束。」
「そんなことが、俺も知らないような大昔にあったんですね……。」
「でも私はその約束を守れながっだよぉぉぉぉ!!」
昔話を話している最中にもだいぶ涙腺がウルウルとしていたミカミさんだったが、ついに涙腺が決壊してしまってボロボロと涙を流し始めてしまった。
「大丈夫、大丈夫ですよミカミちゃん。あなたの約束は私がしっかりと引き継ぎますから。」
「う゛ぅぅぅ……ごめんよぉ柊君。イリスちゃん。」
必死に謝り続けるミカミさんをイリスさんがキュッと抱きしめ、子供をあやすように優しく頭を撫でていた。
それからしばらくして、ミカミさんも落ち着きを取り戻したところで、改めて今の俺の状態についての話になった。
「ぐすっ、それでね……今の柊君の状態についてなんだけど、イリスちゃんからも聞いてる通り、キミの魂は私のお願いのもと、イリスちゃんに預けられたんだ。」
「はい、それは理解したんですけど……俺はここからどうなるんです?」
「本当ならキミの血を継いで生まれてくる子孫に魂を入れ直したかったんだけど、キミが死んでしまって血が途絶えてしまった結果、こっちの世界に魂を移せる器が無くなってしまったんだよ。」
自分のミスを思い返すと、ミカミさんはまた瞳をウルウルと潤ませ始めた。これ以上喋らせてしまうとまた泣き出してしまうことを危惧したのか、今度はイリスさんが話し始めた。
「そういうわけですから、柊さんの魂を私が一度預かり、
「……つまり俺は日本とはまた違うところに復活するってことですか?」
「概ね解釈としては合っていますが、誤解を生まないように少しだけ補足しておきますね。これから柊さんが生まれ変わる……いえ、
そしてまた俺の前に不思議な画面が現れると、そこには体に動物のような特徴を持つ人や、耳がやけに長くとがっている人が、普通の人間に入り混じって暮らしている光景が映し出されていた。
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