試食 ギガントオクトパス
ギガントオクトパスのしつこいぬめりと格闘すること約一時間……ようやく体表のぬめりが取れて、触っても滑らなくなった。
「ふぅ~……一先ずこのぐらいでいいかな。ちょっと残っているのは、茹でたときに取れてくれるはず。」
ウォーターブレスで、ギガントオクトパスの体を洗い流していくと、ぬめりと汚れが一塊の巨大なスライムのようになって流れてくる。
「うぉぉ、こいつはスゴイな。」
そのスライム状になったぬめりと汚れが混ざった水が、解体場の中心にある排水溝へと流れていくと、すさまじい吸引音と共に吸い込まれていった。
「ジル、今の流して大丈夫だったか?」
「問題ございません。この王都の浄水設備は一級品でございますから。」
「そっか、なら安心した。」
その後、ぬめりがとれたギガントオクトパスの足と胴体を分けて、マジックバッグの中にしまい込んだ。
「解体終わりっ、ジルここ貸してくれてありがとな。」
「いえいえ、またご入用でしたらいつでもお声がけください。」
にこりと笑ってジルはそう言ってくれた。その後で、ジルの横で解体を見学していたグリズが俺に質問を投げかけてくる。
「なぁ、勇者様。今のうねうねの魔物どうすんだ?」
「あぁ、もちろん食べるんだよ。」
「ま、マジかよ。あんなもんまで食っちまうのか?」
「きっと美味しいと思うんだが……せっかくだし、今ここでちょっと味見してみるか。」
ジルたちを連れてハウスキットの中に入って、ギガントオクトパスの足のうち一本をまな板の上に置いた。
「まずはもう一回塩で揉んでぬめりを完全に取りきる。そんで、生で食べるには食感の悪い表皮と吸盤を外して白いむき身にしたら……うん、これでも大きすぎるから一回柵にしよう。」
一本の足をお刺身にしやすい大きさの柵にしたら、あとはこのまま薄く削いでお刺身にしていくだけだ。
「外した吸盤は一口サイズにぶつ切りにして、さっと茹でたら出汁醤油とワサビ、鰹節と一緒にもみ込めば……即席の
本当は1日か2日ぐらい冷蔵庫で寝かせてあげるともっと美味しくなるんだが、これでも十分美味しい。
「さて、ジルたちのところに持っていくか。」
出来上がったギガントオクトパスのお刺身と吸盤のタコわさを手にして、ジルたちが待っているテーブルへと向かうのだった。
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