支援開始
やはりというかなんというか、エルフが歩いていると獣人族からすれば注目の的になってしまう。今現状、この国でエルフが作るお菓子がかなり流行っているから、その影響も恐らくあるのだろう。
俺達が孤児院につく頃には、孤児院の周りにたくさんの人だかりができてしまっていた。
(これだけでもかなりの集客力だな。後は質の良い物を子供達と作って販売してみるだけ。)
「それではヒイラギ様、私どもはこちらで護衛の任に当たります。」
「あぁ、よろしく頼む。良しみんな、行くぞ〜。」
「「「はーい!!」」」
そしてみんなを引き連れて孤児院の門を開けて中に入ると、早速興味津々な子供達が集まってきた。
「エルフの人たちだー!!」
「なにしにきたのー?」
「今日は、みんなとお菓子を作りに来たんだよ。」
集まってきた子供達の頭を撫でながらそう言うと、みんな揃って目を輝かせ始めた。
「「「お菓子ー!!」」」
そんな様子を見て、一児の母であるボタンがクスリと笑う。
「あらあら、本当にちっちゃくて可愛い子たちですね。」
そして早速ボタンが子供達をあやし始めると、すぐに彼女の母性に惹かれて子供達がたくさん集まり始めた。
「お、おぉ……流石はボタンさんだ。あ、アタシも見習わないと。」
ユリたちもボタンと同じように子供達と戯れていると、杖をつきながら院長がこちらへ歩いてきた。
「おはようございます勇者様、エルフの皆様。」
「おはよう。約束通りみんなと来たよ。」
院長と挨拶を交わしていると、ユリがすぐにこちらに駆け寄ってくる。
「院長!!元気か!?」
「あらユリちゃん。おかげさまで元気よぉ。」
「き、昨日はちゃんとご飯食べたか?」
「はいはい、勇者様からたくさんご飯を頂きましたから。しっかりと食べましたよ。」
「ほっ……それは良かった。」
胸を撫で下ろして、一安心するユリの肩に俺は手を置いて言った。
「まだ安心するには早いぞ?これからが大事なんだから。」
「そ、そうだな!!」
「さて、それじゃあ院長。子供達を一箇所に集めて……いや、その前にこれを。」
俺はたくさんのどら焼きが入った袋を院長に手渡した。
「あらまぁこんなにたくさん。ありがとうございます。」
「これを今配って、子供達に食べさせちゃって欲しい。」
「わかりました。みんな、勇者様がお菓子を持ってきてくれたわよ〜。」
院長が一つ声をかければ、彼女のもとにたくさんの子どもたちが集まった。そして一人一人にお菓子を配り、食べてもらう。
これで準備は完了だな。
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