静葉の実力
師匠は言語理解を獲得すると、早速ランやドーナと会話を弾ませていた。
「ねぇ、そういえばシズハってヒイラギの師匠なんでしょ?」
「そうだな……と言ってもまぁ、本当に師になったのは最近で、幼い頃から柊にそんな風に呼ばれていただけなんだが。」
「あら、そうだったの?」
「あぁ。」
今思えば懐かしい思い出だ。俺が三歳か四歳の時に習い始めて……その時に師匠に会って、開口一番に『私は未来の師匠だから、師匠と呼べ!!』って言われたんだよな。
あの衝撃は今でも忘れない。
「実はワタシ達、ヒイラギにその武術ってやつを教えてもらったのよ。」
「ほぅ!!それはまた、嬉しい報告だな。」
ニコリと師匠は笑うと、こちらを見てきた。
「てっきり私の代で途切れてしまったと思っていたが、まさかこの世界で続いていたとは……。いい仕事をしたな柊。」
「まぁ、俺が教えたことは少ないんですけど……二人は俺と違ってセンスがあったので、基礎を教えたらすぐにそれを元に自分オリジナルの武術に発展してました。」
「ほぅほぅほぅ……。面白い、ならその腕を見せてもらおうかな。」
そう言って師匠は立ち上がると、ランとドーナの事を引き連れて、エルフの兵士たちが訓練を行う修練場へとむかった。
「さぁて、ここなら広いから存分に動けるだろう?」
ぐっぐっと体の柔軟をしながら師匠は二人と向き合った。
「シズハ、言っとくけど……ワタシ達ステータスは圧倒的にあなたより上よ?」
「そのステータスというのは、身体能力のことだろう?それならば問題はない。」
「へぇ、随分な自信だねぇ。」
「まぁ、念の為魔法だけは禁止にしておくか。今回は二人の武を見たいだけだからな。」
そして師匠が構えると、ランとドーナの二人も構えた。
「さ、二人同時でも構わないぞ。いつでも来い。」
「じゃあ遠慮なくッ!!」
真っ先に飛び出したのはランで、一歩で師匠の間合いへと踏み込んだ。
「おっ?動きは速いな。」
「はぁッ!!」
間合いに踏み込まれているのに動じていない師匠へと、ランは下段から鋭い蹴りを繰り出した。
それが師匠の体に触れようとした瞬間、ランの体がグルリと一回転した。
「え?」
「予備動作も少ないし、隙も無いが……少し油断しすぎだな。」
そしてランのことを転がすと、次はドーナの方へと視線を向けた。
「さ、次だ。」
「流石はヒイラギの師匠だねぇ、でもアタイは負けないよ!!」
そしてドーナが一歩を踏み出そうとした瞬間……。
「誰しも
師匠は間合いを一瞬で潰す縮地で、ドーナが動こうとした瞬間を狙って距離を潰していた。
「ほい、足払い。」
「んなっ!?」
そこから鋭い足払いでドーナをも簡単に転がしてしまった。
「さぁ、二人の力はこんなものじゃないんだろう?私に全てを見せてみろ。」
そして暫く師匠は二人の力を測るべく、掛かり稽古のような形式で二人の相手をしていた。
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