獣人国デート再び
レイは『意中の相手とデート♡初級編』のページをめくると、最初の方のページをじっくりと読みながら、優しく俺の手を握ってきた。
「まず基本中の基本、デートでは意中の相手の意識を自分に向かせるよう、手を繋ぐのじゃ。こうして体をぴったりとくっつけるのも効果的と書いてあるぞ。」
「それ読み上げながらやったら意味無いんじゃないか?意図がこっちにまるわかりなんだが……。」
「むっ、そ、そうじゃな。気を付けるとしよう。」
ぱたんと本を閉じると、レイはそれを再びしまってから俺の手を握った。
「よし、ではちょうど昼時じゃからまずは飯を食いに行こう。主は何か食いたいものとか無いか?」
「食べたいものか……。」
前にドーナとこの国でデートをしたときは、シチューを食べに行ったんだよな。今度は……そうだな、できるならレイも美味しく食べられるものが良いし、肉料理なんかが良いかもな。
「それならレイも好きな肉料理を食べに行こうか。この国なら肉を売りにしてる料理店はたくさんあるはずだ。」
「おぉ!!それは名案じゃ!!」
そしてレイと共に通りを歩きながら、美味しそうな肉料理を出しているお店を探していると……。
「ん?あれ、この辺って確か。」
「む?」
歩いていると、ユリたちが営業をしている場所まで歩いてきてしまった。やはりこの辺は行列ができているな。
「この行列は何じゃ?」
「この先には、エルフがお菓子を売ってるお店とミクモの豆腐屋があるんだよ。」
「お菓子の店は主のお菓子屋じゃろ?それはわかるのじゃが、ミクモが店をやっているのか?」
「そうだ、豆腐っていう大豆から作った食材と、それを使って作ったおかずを売ってる。」
「ほう!!」
今思えば今のこの国の中で一番ホットな場所ってここじゃないんだろうか。この大行列がそれを証明しているような気がする。
「ミクモが作っているものも気になるが、この行列じゃといつ買えるのかわからんのぉ。」
「そうだな。」
この行列の最後尾に並んでしまえば、一時間ほど待つことになってしまうだろう。
「それならば、どこか別の店を探してゆっくりと飯が食いたいのじゃ。」
「わかった。じゃあ今度俺がミクモに頼んで、何か買って帰るよ。」
「おぉ!!ありがたいのじゃ主っ!!」
行列の奥で俺のことを見つけて手を振ってきたユリたちに手を振り返して、俺とレイは美味しい肉料理を探してまた通りを歩くのだった。
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