新しいスイーツの材料を求めて


 本日の営業を終えた後……俺は売り上げ金をリコに納めるために、フィースタと共に彼女の管理地である農場へと足を運んだ。


「やぁやぁ!!今日も大盛況だったね。」


「お陰さまでな。これお土産。」


 今日発売の新作スイーツ、マンドラアイスクリームとどら焼きをリコに手渡した。


「おっ、これは話題の新作だね?」


「常温で溶けるから、冷えた所で保管してくれ。」


「んふふ〜、その必要はないかな。ここで食べちゃうもんね!!」


 袋からマンドラアイスクリームを取り出すと、この場でリコは食べ始めた。


「ん〜っ、冷たくて美味しいね。仕事終わりで体も火照ってるから、余計体に染みるよ。」


 冷たいアイスに舌鼓を打っている彼女に、今日の売り上げ金を手渡した。


「これが昨日と今日の売り上げだ。詳しい明細は出してないが、多分白金貨1枚分ぐらいはあるはずだ。」


「そんなに売り上げたの!?」


「あぁ。」


 見たことのない、摩訶不思議で美味しいスイーツというのは、取り分け人を惹きつける力があるようで、エルフ達が大量に買いに来るのだ。1日に同じ人が何回も買いに来たこともある。


「この売り上げで、新しいお菓子の材料を買いたいんだが……。」


「全然良いよ!!何でも言ってちょーだいっ!!…………農場にあるものでお願いね?」


「もちろんだ。今回欲しいのは、だ。」


「こ、粉?」


「あぁ、この前ここを訪れた時に稲を収穫してたよな?」


「そうだね。…………まさか、あれを粉にしてほしいってこと?」


「そういうことだ。」


「流石にアレは蒸した方が美味しいと思うけどなぁ。」


 あまり乗り気ではないリコに、その蒸した後の食感を聞いてみた。


「ちなみに蒸して食べると、どんな食感になる?」


「一言で表すなら……もちっとした感じ。」


「うん、なら大丈夫。」


「ほ、ホントかなぁ。う~ん……まぁキミがそう言うなら用意してみるよ。ちょっと待ってて。」


 そしてリコは倉庫の方へと走って行った。その間、彼女に出してもらったマンドラ茶をゆっくりと飲んでいると……粉をかぶって真っ白になってしまったリコが戻ってきた。


「けほっ!!お、お待たせ〜。」


「ずいぶん派手に粉を被ったな。」


「だって、キミのお店ってめちゃくちゃ人気じゃん!!たくさんないとダメでしょ?」


「まぁ、そうだな。その粉ちょっと確認してもいいかな?」


「もちろんもちろん。」


 彼女に粉にしてもらった穀物を触ってみた。すると、かなりきめ細かい粉になっているのがわかった。


「よし、じゃあ早速試作してみるよ。」


 早速、これを使って新しいスイーツを作ってみよう。

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