食べられない野菜


 そしてリコから、色々な農作物を見せてもらいながら説明を聞いていると、彼女が一つだけある野菜を飛ばしていたことに気が付く。


「なぁリコ、これは育ててる野菜じゃないのか?」


 俺が指さした畑には、いんげん豆のような野菜があった。すると、彼女は苦笑いしながら言った。


「いやぁ〜、これ倉庫の奥深くに眠ってた豆の種で、食べれるかな~って思ったんだけど。」


 リコがその豆を一つ摘み取ると、さやを割って中に入っている豆を見せてくれた。


「この通りカッチカチでさぁ〜、食べれたものじゃないんだ。」


 その豆を手にとって観察し、あることを確信した俺は、おもむろにそれを口の中に放り込んだ。


「あっ!?お、美味しくないぞ〜?」


「……やっぱり、これはだ。」


「へ?」


 きょとんとした表情を浮かべるリコとフィースタ。俺はリコにあるお願いをしてみた。


「リコ、この豆ちょっと俺に調理させてくれないか?」


「調理って……これ食べるの?」


「あぁ、俺はコレを美味しく食べる方法を知ってるんだ。」


 リコはフィースタに視線を送ると、フィースタは一つ大きく頷いてくれた。


「わかった、この前収穫したやつがあるからちょっと待ってて。」


 そしてリコは巨大な倉庫の方へと走っていく。それから数分後、大きな袋を携えて戻ってきた。


「お待たせ〜!!このぐらいあればいいでしょ?」


「十分過ぎる。それじゃあ火を扱えるところに案内してくれないか?」


「はいは〜い、こっちだよ。」


 フィースタと共にリコの後に続いていく。


「ここでいい?」


「あぁ大丈夫。」


 案内されたのは、農場内の建物の中にあるキッチンだった。


「ここにある調味料は使っていいか?」


「良いよ〜。」


 さて調味料は何が揃っているんだろう。一つ一つ確認していくか。


 そして一つ一つ常備されている調味料を味見していった結果、塩と砂糖に胡椒……あとはローリエみたいな葉っぱが常備してあるようだ。


「良しじゃあ早速始めていこう。」


 まずは小豆のような豆をしっかりと洗い、鍋に移す。そしてたっぷりの水を注いで火にかけた。

 少々煮立ってきたら、その水を捨て、新しい水を注いでアクをとりながらじっくりと煮込んでいく。


 すると、30分ほど煮込めばあれだけ硬かった豆が指の腹で押せば潰れるほど柔らかくなった。


「ここに砂糖を入れて……。」


 砂糖を入れて、しっかりともう一度火を入れてやれば……。


「粒あん完成だ。」


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