フィースタの手作り料理


 フィースタが作ってくれたのは、色々な野菜と果物がふんだんに使われたサラダと、これまた野菜がたっぷりと入ったスープ、そして乾燥させた果物や木の実が入っているグラノーラのようなものだった。


「お口に合うかわかりませんが……。」


「いや、こうして作ってくれるだけでありがたい。それじゃあ、いただきます。」


 いつものように手を合わせ、食前の挨拶をしてから食べ始めた俺を、フィースタは不思議そうに眺めていた。

 

 そして早速、俺はまずスープから口にしてみた。


「おぉ、これはすごいな。野菜の濃厚で甘い出汁がしっかりと味わえて、美味しいな。」


「ほっ……お口にあったなら良かったです。」


 癖で感想を口にしていると、フィースタが安心したように胸を撫で下ろしていた。


「この野菜も全部この国で採れたものなのか?」


「そうですよ。世界樹のおかげで、とても美味しい野菜でしょう?」


「あぁ、今まで食べてた野菜の中でも群を抜いてるかもしれない。」


 そう言うと、フィースタは嬉しそうに微笑んだ。


「さて、今度はサラダをいただこうかな。」


 千切った葉野菜と、極細にカットされた色とりどりの野菜……そして大ぶりにカットされた桃のようなフルーツを一緒に口に運んだ。


「んっ!?これもまた美味しいな。この葉野菜もみずみずしくて、細切りの野菜は噛めば噛むほど甘くなってくる。極め付きはこの桃みたいな果物、てっきり甘いのかと思ったが、ほどほどに酸っぱくていいアクセントになる。」


 これならドレッシングはいらないな。野菜そのものの味が良いし、このフルーツが後味もさっぱりとさせてくれる。


 これで2品食べたわけだが……ここまでで一つ確信できることがある。フィースタはめちゃくちゃ料理が上手だということだ。

 一つ一つの味が強い野菜を使っているのにも関わらず、お互いを邪魔しない組み合わせで調理を行っている。流石はエルフの国長……恐れ入った。


「今度はコレだな。」


 乾燥させた果物と木の実をふんだんに使ったグラノーラ。早速、果物と木の実を一緒にスプーンで口に運んでみた。


「んんっ!!これは良いな。毎日食べたいぐらい美味しい。」


 ポリポリと心地の良い食感の木の実は、噛み砕くとコクのある濃厚な甘さが感じられる。それだけではくどくなってしまうが、そこに乾燥させたフルーツの酸味が非常に良くマッチしている。


 一つ一つの料理を絶賛しながら食べていると、フィースタが少し恥ずかしそうにしていた。


「そ、そんなに褒められると恥ずかしいです。」


「いや、これは誇っていいと思う。めちゃくちゃ美味しいから。」


 そして綺麗に料理を平らげると、俺は再び手を合わせた。


「ごちそうさまでした。」


 いやはや、本当に美味しい料理だった……。今度俺も何かお返しを考えておこう。

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