ミミックアシッドスライム
魔物が大爆発を起こすと同時に、俺の体に粘性のある液体が大量にかかった。そしてそれがジュウジュウと体を徐々に溶かし、蝕んでいく。
「ぐっ……だ、大丈夫か?」
背面と、翼に襲いかかる焼けるような痛みに耐えながら、フィースタに問いかける。
「ど、どうして私を庇って……。」
涙目になりながらフィースタは、そう言葉を絞り出した。
「どうして……って、俺が守らないと……ぐっ、誰もフィースタのことを守る人がいないだろ?」
「で、でもこれではあなたがっ!!」
「俺のことはいい。こんなの……すぐに治る。フィースタはもっと遠くに離れててくれ。」
危険が無くなったところで、フィースタには被害の及ばない、もっと遠くに離れてもらう。
「いってて……龍化してなかったら、今頃骨だけになってたな。」
体についた液体を振り落とし、爆心地へと目を向ける。すると、爆発で辺りへと飛び散った液体が、また一つに戻ろうとしていた。
「だが、今ので確信した。あの魔物は……
多分擬態か何かで、あの虎みたいな姿になっているだけ。
「完全にお前の正体を暴いてやる。鑑定。」
鑑定を使うと、魔物の種族名がミミックアシッドスライムと書いてある。そしてスキルには擬態もしっかりとあった。
「種が割れたなら攻略は簡単だ。」
再生途中のヤツへと向かって一気に近付くと、ブリザードブレスを放つ。
「凍れよ。」
あっという間に凍りついた、ミミックアシッドスライムを粉々に粉砕して、丁寧に破片を一つ一つ踏み潰していく。
そして全ての破片を踏み潰す頃には、こいつの再生は止まり、俺の足元に宝玉が転がっていた。
「宝玉がドロップしたってことは、倒したんだな。」
こいつも後々使い道は考えよう。そしてマジックバッグにしまおうとすると……。
「あ……しまった。ドーナに預けてたんだった。」
脱出の結晶の転移先をハウスキットにするため、彼女にマジックバッグを渡していたことをすっかり忘れていた。
「仕方ない。今食べてしまうか。」
ミミックアシッドスライムの宝玉を食べると、すぐに体に変化が現れた。
「ん?酸の火傷があっという間に治った。」
傷跡も残らず、綺麗に火傷が治ってしまったのだ。自分のステータスを確認してみると、超再生のスキルがマックスになっていた。恐らくこれのおかげだろう。
「後は薬物耐性やらやらと……ちゃんと擬態も手に入ってるな。」
この擬態は何かしら使い道がありそうだ。後で、どんな使い勝手のスキルなのか、検証しておこう。
「っと、さて……魔物は倒したし、フィースタに報告しに行こうかな。」
安全を確保したことをフィースタに伝えに行くため、離れてこちらの様子を眺めていた彼女のもとへと歩みを進めるのだった。
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