エルフ国長 フィースタ
拘束された後、俺は国長というエルフの住む屋敷へと連れてこられていた。
「さて、まずは自己紹介から始めましょう。私はエルフの国長
「俺は、ヒイラギ……ヒイラギ クレハ。」
自分の名前を伝えると、フィースタは何か思い当たることがあったようで……。
「ヒイラギ……その名前、あなたはもしかして獣人族を救った人間では?」
「どうしてそれを?」
「私達エルフは、他種族との交流を絶っているとはいえ、情報を集めないわけではありませんよ。」
「……つまり、フローラみたいに獣人族の国にもエルフを忍ばせてる……と?」
「否定はしません。」
フィースタはクスリと笑うと、飲み物を口にした。
「で、俺はこれからどうなるんだ?」
「本来であれば、即処刑……なのですが、昨今私達エルフは少々困った事情をいくつか抱えてしまって、大変なのですよ。」
「その問題を解決すれば処刑は免れるってわけか。」
「察しがよくて結構です。では早速説明に移りましょうか。」
そう言って、パチン……とフィースタが指を鳴らすと、俺の手足を拘束していた植物の蔓が解かれる。
「いいのか?こんなあっさり拘束を解除して。」
「構いません。あなたは私達に敵対する意思はないようですから。」
そして彼女はテーブルの上に地図を広げた。
「ここが、今私達のいる居住区です。世界樹の麓なのでわかりやすいでしょう?」
「あぁ。」
「あなたに倒してほしい魔物は、ここにいます。」
地図上の居住区のある場所から少し離れたところにある、泉をフィースタは指さした。
「死の女神の魔物の大半は、私達の敵ではありませんでした。ですが、ここに住処を作ってしまった魔物は、何人で部隊を組んでも倒せなかったのです。」
「ちなみに魔物の特徴は?」
「巨大な虎型の魔物です。剣や弓による攻撃も、魔法も一切通用しません。」
「なるほど、厄介そうだ。」
「この魔物を見事打ち倒した暁には、この国への滞在を許可します。もちろん、それなりの行動制限はつけさせて頂きますが……。どうしますか?」
それに対する答えは1つしかない。
「わかった。その魔物は俺が引き受けよう。早速ここに向かいたいんだが、案内役をつけてくれないか?」
「その役目は私が務めます。倒すところを、この目で見る必要がありますからね。」
話を聞く限りではかなり強そうな魔物だが……エルフからの信頼を得るために、ここは1つ頑張らないと。
そして俺は、フィースタと共に件の魔物が住むという泉へ向かった。
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