ギャンブルベリーに翻弄されるリリン
それからのドーナ達は凄かった……。予想は全てドンピシャで当たり、先程までの負けを一気に覆して、大幅にプラスにしていた。
ドーナ達も大丈夫そうだし、今度はリリン達の方を見に行こう。
そして少し離れたところで賭けに興じていた、フレイに声を掛ける。
「調子はどうだ?」
「あ、ヒイラギさん!!えへへ〜、今すっごく勝ってるよ!!」
「それは良かった。……ちなみにリリンは何をやってるんだ?」
フレイとライラの視線の先で、リリンは何やら葡萄のような果物と向き合っていた。
「あれがボク達がやってる賭け事なんだけど……あの果物が、どれか一つだけすっごく酸っぱいらしいんだ。それをお姉様が何番目に食べるか賭けてるの。」
「ほうほう……。」
これはまた面白いことをしてるな。さて、どんなことになるか……ここから見学させてもらおうか。
「ボクはまた1回目に全賭けっ!!」
フレイはリリンが1回目でその酸っぱいものを食べると予想し、持ち金を全て賭けた。
「だ、大丈夫なのか?」
「大丈夫、大丈夫〜♪お姉様は絶対1回目で酸っぱいの引き当てるから。」
そして賭け金が出揃ったところで、司会の男が声を上げた。
「それではお食べくださいっ!!」
「も、もう酸っぱいのはイヤ……甘いの甘いの甘いのっ!!」
切に願いながら、リリンは一つ果実をもぎ取ると、それを勢いよく口の中に放り込んだ。直後、まるでレモンを丸かじりしたかのように、リリンの顔が強張った。
「むきゅっ!?!?」
「あぁ〜っと!!これはまた一発目で引き当てたぁ〜っ!!なんという豪運でしょうか!!」
悶絶するリリンを他所に、フレイのもとに先程賭けた金額が倍になって返ってくる。
「さっすがはお姉様っ♪ボクは信じてたよ〜!!」
「お見事でございます。お嬢様。」
拍手している二人に、俺はとある疑問を投げかけた。
「ちなみにリリンは、賭けはやってないのか?」
「あ、お姉様はもうお金全部使っちゃったよ?ボク達にお手本を見せる〜って言って、全賭けして負けちゃったんだ〜。」
「…………納得した。」
リリンが賭けをしていないことに納得していると、再び彼女の前に先程の葡萄のような果実が運ばれてくる。
「この度は少々趣向を凝らしまして……先程と性質が逆の
司会の説明を聞いたフレイは、また今の持ち金を全賭けする。
「お姉様のこと、な〜んもわかってないなぁ〜。お姉様は豪運なんじゃなくて、とことん
そのフレイの予想は正しく、またもリリンが豪運を見せつけると思った人達はあえなく撃沈……。本当に最後の最後まで、彼女は甘い果実を引き当てることはできなかったのだ。
「お姉様頑張って〜!!最後のそれは甘いやつだよ〜!!」
最後の力を振り絞って、リリンは甘いはずのそれを口に放り込んだ。すると、悲しそうに笑みを浮かべながら、ポツリと誰にも聞こえないような小声で呟いた。
「これも酸っぱかったわ……。」
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