重役の洗脳を解け!


 先程気絶させた彼らをベッドに寝かせた後、早速洗脳の解除に取りかかることにした。


 前回と同じく、ブレスオブディザスターを使い、彼等と国王との洗脳による繋がりの鎖を可視化させる。そして一つずつ力を流し込んで破壊していった。


「これでよし。鑑定。」


 鑑定スキルを使い再び三人のステータスを確認し、状態異常の項目が空白であることをしっかりと確かめた。


「これで洗脳は解けました。後は目を覚ますまで待ちましょう。」


「こうして間近で見てみると、あなたのその力の異様さがよくわかるわ。」


「これを俺達にもやったんだろ?」


 洗脳解除の一連の流れを見ていたルーカス達は、俺の力に驚いていた。驚くのも無理はない。もともとは自分の力じゃないし、それ以前に人間の力じゃないからな。


「身体的には、何も影響はないので安心してください。」


「その言葉を聞いて安心したぜ。」


「ルーカスってば心配性だからね~。」


 ホッと胸を撫で下ろしているルーカスを見て、クスクスとルシアが笑う。


「逆にルシア、お前は心配しなさすぎなんだよ。」


「そりゃあ私はルーカスと違って胆が太いからね~。」


 えっへんと無い胸を張るルシアを見て、ルーカスは呆れ顔で深くため息を吐いた。


「そういえば、皆さんは随分親しげですが、どういった関係なんですか?」


「オーナルフから何も聞いてないのか?」


「はい、特には……。」


「オーナルフと私達はね~、小さい頃からの幼なじみなんだよ~?」


 なるほど、ようやくオーナルフとルーカス達がとても仲が良かったことに合点がいった。


「なるほど、そういうことでしたか。」


「驚いたかね?」


「いえ、薄々そんな感じかな……とは思っていたので。」


 そんなことをオーナルフ達と話していると……。


「ぐっ……こ、ここは?」


 筋骨隆々でバイルと呼ばれていた男が、二人より先に目を覚ました。


「バイル様、ここはオーナルフ卿の屋敷でございます。」


 ルーカスがバイルのベッドの近くで跪いて言った。


「オーナルフ卿の屋敷…だと?なんで俺はこんなところに……っていかん!!陛下を止めなければ大変なことにッ!!」


「バイル様、落ち着いてください。」


 エートリヒが冷静な声で、バイルという男にそう告げる。


「これが落ち着いていられるか!!陛下はッ……。」


「わかっております。そのために国の重役である、あなた方に来ていただいたんですから。」


「なんだと!?」


「話はそちらのお二方も起きてから、お話しいたしましょう。それまで少し体をお休め下さい。」


「むっ、ダグラスにカムジンもいるのか…わかった。そっちの二人が起きたら、しっかりと事情を説明してもらうぞ。」


「はい、もちろんでございます。」


 そして俺達はダグラスとカムジンの二人が起きるまでシン……と静まり返った部屋で待った。

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