マーレギルド長 ギル
相手の素性がわかったので、俺とランはギルに案内され二階のギルド長室へと来ていた。
「あぁ、まぁ座ってくれや。ちょいと散らかってるが……。」
「ちょっとではない気がするんだが?」
部屋の中は酒の瓶や紙くずが散乱していた。とてもちょっとという言葉では片付けられないほど、散らかっている。
「ガハハ!!まぁまぁ、気にしなさんな!!」
ギルは笑いながら二対に並べられたソファーにどかりと座る。俺とランはもう片方のソファーに腰かけた。
「ふぃ~、そいで兄ちゃん達魔物探してんだって?」
「できるだけ強いやつを探している。」
「そうか、ほんならちょうどいいのがいるが…聞いとくか?」
「あぁ、教えてくれ。」
「この街からちょっと行ったとこに丘があるんだが……。」
ん?あの丘に住んでる魔物……ちょっと待てよ?嫌な予感が頭をよぎるが、一先ず話を聞いていると。
「数年前からあそこに、まぁデカいアシッドスライムが住み着いちまっててなぁ。」
それあいつだよな?凍らせて粉々にした、あのスライムのことだよな?
「あのバカども全員ぶちのめしたあんたなら倒せると思うが、どうだ?」
「……そいつはもう倒した。」
「はぁ!?マジかよ……。」
衝撃の事実にあっけにとられるギル。まぁ、普通の反応だよな。紹介しようとした魔物が、既に討伐済みだったらそうなる。
「あいつ以外でなんかいないのか?」
「いるにはいる。だが、そいつはマジでヤバいぞ?冒険者の階級言えば、白金級の実力がないと無理だ。」
最上級の冒険者じゃないと討伐できない魔物か。ちょうど良い、そのぐらいじゃないと意味がない。
「問題ない。そいつの特徴と、どこにいるか教えてくれ。」
「そいつの名前は
「そうか、わかった。」
俺とランが立ち上がり部屋を出ようとすると、ギルに引き止められた。
「お、おい!!マジで行く気か?」
「あぁ。」
「兄ちゃんが強ぇのはわかるがな、シーデビルは強さの次元が違ぇんだ!!ここのギルド長として、無駄に犠牲は出せねぇんだよ。」
「そうか。」
俺はクルリとギルに向き直ると、彼が瞬きをした瞬間一気に踏み込んで、背後に回り込みポンポンと肩を叩いた。
「そういうことなら、これでいいな?」
驚きのあまり、固まってしまったギルを置いて、俺とランはギルドを後にした。さてさて、シーデビルか……どんな魔物か楽しみだな。
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