おっきくなりたい子供たち
二人が寝た後で、牛乳を片付けようとすると服の袖が引っ張られた。
「ぱぱ…わたしも…のみたい。」
「シアも飲みたい!!シアもお胸おっきくしたい!!」
シアの胸を大きくしたいという言葉にメリッサもコクコクと頷いている。二人はまだ気にする必要はないと思うんだけどなぁ……。なんていったって、まだまだ成長期だし。
でもまぁ、牛乳を自主的に飲むのはいいことだからな。
「わかった。コップ持ってくるからちょっと待っててな?」
さっきリリンとフレイが飲んだコップを片付け、新しいコップを二つ手に取りシア達のもとへと向かう。そして牛乳をコップに注ぎ、二人に差し出した。
「はいよ、お待たせ。」
「ぱぱ…ありがと。いただきます。」
「お兄さんありがとう!!えへへぇ~♪いただきま~す!!」
ゴクゴクと勢いよく二人は牛乳を飲んでいった。
「ぷはっ、美味しかったぁ~。」
「あとは…ねるだけ。ぱぱ…はやく…ねよ?」
グイグイと二人は腕を引っ張って布団へと連れていこうとする。まぁ明日も早いし、早めに寝ても損はないか。
「わかった、わかった。今布団敷くから。」
二人に急かされながら俺は布団を敷いて、真ん中にごろんと横になった。
寝るには早いと思っていたはずだったが、こういざ横になってしまうと強烈な睡魔が突然襲ってくる。布団の魔力とは恐ろしいものだな。
「それじゃあ、おやすみ!!」
「おやすみ…なさい。」
二人も横になると、すぐにすやすやと寝息をたて始めてしまった。
「ワタシ達も寝ようかしらね。」
「そうだねぇ~、明日も早起きしなくちゃいけないから。」
「「おやすみヒイラギ。」」
「あぁ、おやすみ。」
隣で寝転がっていた二人も目をつぶるとすぐに安らかな寝息をたて始めた。
明日の昼前にはマーレに着けるといいな。早いうちに着いて街の中を見て回れたら最高だ。いったいどんな魚介類があるんだろうな。
明日のことを考えているうちに意識がどんどん微睡みの中へと沈んでいった。
◇
みんなが寝静まった頃、明かりの点いていない厨房のなかに人影があった。
「ふふっ♪ありました、ありました……。これを飲めば私もきっと、ふふっ♪」
クスクスと笑いながらその人物はコップに牛乳を注ぎ、飲んでいた。
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