再びシュベールの湖へ


 さてさて、昼ごはんもおやつも食べたし……そろそろ出発するとするか。


「よし、それじゃみんなそろそろ出発するぞ~。」


 そうみんなに声をかけて、グレイスに馬車の装備を着け始めた。そして馬車の準備が完了すると、みんな馬車の中に乗り込んだ。


「みんな乗り込んだな。じゃあグレイス、進んでくれ。」


「了解っす~、行くっすよ~。」


 再び馬車は目的地へと向かって進み始めるのだった。





 しばらく進み陽が暮れ始めた頃、向こうの方にシュベールの街並みが見えてきた。以前はここに来るのに一日かかったんだが……やはり進化したグレイスは一味違うようだ。


「街が見えてきたっす~。」


「結構早い段階でここまで来れたな。関所にいる兵士に見付からないように、向こうの湖を迂回して進んでくれ。」


「了解っす~。」


 グレイスの姿を兵士に見られてしまうと、いろいろと面倒なことになりそうだからな。ステータスカードの提示を求められても困る。


「今日はどの辺で夜営をしようか……前にシュベールに来たときに夜営してたあそこでもいいな。」


 そういえば、まだこの湖にはウォータードラゴンが住んでいるのだろうか?まだいるんだったら、あそこで釣りをしたら釣れそうだな。


 それか、もしかすると料理をしているときに、匂いを嗅ぎ付けて向こうからやって来るかもしれないな。


 そしてシュベールの街を迂回し、俺達は湖の近くの林の中を進む。陽が暮れ始めているのもあって、林の中は少し薄暗い。


 正直言って不気味だ。こういう景色は、獣人族の国を出てくるときのアレを思い出してしまうな。

 こっちでは、あぁいうのは出てきてほしくないものだ。


「グレイス、そこの空き地に馬車を止めてくれ。今日はここで夜営しよう。」


「了解っす~。」


 林の中のちょうどハウスキットを出せるぐらいの広さのところに、グレイスに止まってもらう。

 そしてハウスキットを出現させた。


「みんな、今日はここで夜営するから先に中に入って……ってみんな寝ちゃってる。」


 後ろの馬車を覗くと、みんなスヤスヤと寝息をたててしまっていた。お腹いっぱいになったから、眠くなってしまったんだろうな。


「仕方ない。運び出すか。」


 取りあえず、暖かいハウスキットの中にみんなを運んでしまおう。


 俺は一人ずつ起こさないように、ゆっくり中へと運びソファーの上に寝かせていった。

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