中継地点


「よし、グレイスどこか適当なところで止まってくれ。」


「了解っす~。」


 グレイスにそう指示を出した俺は、後ろの馬車で待機しているみんなに声をかけた。


「みんな、そろそろ休憩にしよう。」


「む?もう休憩をとるのか?」


「あぁ、取りあえず中継地点の街に着いたからな。」


「街?……まさかもうに着いたのか!?」


 俺の言葉にシンは大層驚いた様子だった。


「あの街、ジンバっていうのか?」


「うむ、ジンバは農業が盛んな街なのだ。」


 農業が盛んな街か。何か面白い食材とかないかな?ベルグと一緒に戦ったあの時は、時間がなくて街の中を見て回ることはできなかったが、今日は少し位だったら見て回れそうだ。その時に探してみるか。


「あの街って、俺たちが中に入って見て回るなんてことできるか?」


「無論だ。ヒイラギ達のことは、この国全ての街や村にしっかりと通達しておる故問題ない。それに、我もおるのだぞ?我が共にいて入れぬ場所など、この国には無い。」


 王都のようにみんなが俺達のことを知っているわけではないと思うから、急に人間が入ってきたらビックリされないか心配だったが……。

 まぁシンがそう言うのならば大丈夫だろう。内心少し安心した。


 そして街の近くに馬車が止まり、乗っていたみんなが降りてくる。


「ん~っ、やっぱりずっと座ってると疲れるわね~。」


 ぐぐ~っとランが背伸びをしながら言った。その気持ちはわかる。馬車の中は何にもすることがなくて暇だろうし、体勢もほとんど変わらないから結構疲れるはずだ。

 何か娯楽があれば多少は楽になると思うが……みんなで楽しめる娯楽なんて何かあったかな?


 俺はカチャカチャとグレイスに装着してある馬車の装備を外しながら、そんなことを考えていた。


「ほい、外れたぞ。」


「感謝するっす!!」


 馬車の装備を外したとたんに、グレイスは再びいつもの小さいマスコットサイズに戻った。


「やっぱり普段はこっちの方が動きやすいっす~。」


 パタパタと辺りを飛んでいると、案の定シアに捕まりいつもの所定の位置に収まった。


(うん…動きやすさとか関係ない気がするな。)


 馬車をマジックバッグに収納し終えると、シンが街の関所からこちらへ向かって手を振っているのが見えた。


 どうやらあちらは話がついたらしいな。

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