大宴会閉幕


 料理もなくなって宴会が終わりに近づくと、リリン達は席を立った。


「さてっと、美味しいものも頂いたし…私たちはそろそろ部屋に戻って明日に備えるわ。」


「明日は朝に起きなきゃいけないからね。今日はいっぱい寝なきゃ。」


「フレイ、今日は吸血しなくていいのか?」


「だってヒイラギさんいっぱいお酒飲んじゃったでしょ?お酒が抜けるまで待ってたら朝になっちゃうから後でいいよ。」


「わかった。それじゃあゆっくり休んでくれ。」


 存分に料理を堪能したリリン達は明日に備えるため自室へと戻っていった。それを見送っていると、隣からか細い声で助けを求められた。


「う、うぷ……。ひ、ヒイラギ助けてくれ。」


「どこへ行くのじゃシン坊っ!!まだ妾は満足しとらんぞ!!ほれ、飲めいっ!!」


 俺に助けを求め縋り付いてきたシンだったが、無情にもミクモに無理矢理口の中に酒を突っ込まれていた。

 だが先ほどとは違いミクモの顔も少し赤らんできているため、終わりは近そうだ。もう少しの辛抱だ。


「では私も明日の営業がございますので、申し訳ないのですがこの辺でお暇させていただきます。今日はご招待いただきありがとうございました。」


 ジルはそう言って立ち上がってこちらに一礼をした。本当はもう少し酒を飲みながら話をしたかったが、無理に引き留めるのも悪いな。


「できうる限り美味しいものを作ったつもりだったが、満足してもらえたかな?」


「えぇそれはもう、今日は私の人生で忘れられない日になりました。」


「それならよかったよ。」


 頑張って作った甲斐があったな。


「ヒイラギ様は明日この国を発たれるのでしょう?」


「どうしてそれを?」


「先ほどの会話を聞いていれば何となく察しはつきます。いずれ戻ってくる予定はあるのですかな?」


「あぁ、またすぐ戻ってくるさ。そしたらまた顔を出すよ。」


「ではその時を首を長くしてお待ちしておりますね。」


 そしてジルは酔いつぶれたグリズとエノールを介抱しながら去っていった。最終的に円卓に残ったのは俺とシンとミクモ…そしてドーナ達だ。

 現状、最も元気なのは俺とシア、そしてグレイスだけだ。


「二人とも満足か?」


「うん!!すっごく美味しかった!!」


「サラマンダー最高だったっす!!」


 どうやら二人ともお腹もいっぱいになって、しっかりと楽しんでくれたらしいな。


「みんな酔いつぶれちゃったし、そろそろお開きかな。」


 辺りを見渡しても円卓に突っ伏している人がかなり多く見受けられる。料理もほとんどないし、そろそろ潮時だろう。

 近くにいたメイドさんに声をかけてドーナとランの二人を運ぶのを手伝ってもらい、シアたちとともに宴会会場を後にするのだった。

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