二人の嫉妬


 そしてあっという間にパンケーキが無くなり、楽しかった昼食は幕を閉じた。


「はぁ〜っ、おいしかったわ〜。」


「今日のは一段と楽しかったし、美味しかったよ。」


「お腹いっぱい……しあわせ~。」


「ついつい食べすぎちゃいましたね。」


「もう今日は飛べないっす……。」


 みんなお腹パンパンになったようだ。パンケーキは結構腹にたまるし、それに加えトッピングもいっぱいしてたからな。


「そういえばもう出発の準備は終わったの?」


「あぁ、滞りなく終わったよ。そんなに準備することも多くはなかったからな。」


 サラマンダーの肉を受け取って、ミルタさんへのお土産を買って……それで終わりだ。


「ミルタへの土産は決まったのかい?」


「美味しい芋酒を買ったよ。」


「いいんじゃないかい?あいつも酒は嫌いじゃないだろうからねぇ。」


 酒の話をしていると、ふと思い出したようにランが呟いた。


「お酒……この前の宴会は一口しか飲まなかったけど、今日はたくさん飲もうかしら。」


「アタイも今日は酔っ払いたい気分だねぇ。」


「ふ、二人とも程々にしてくれよ?」


 二人が酔っ払うと大変だからな……いろいろと。


「ふふっ♪ちなみに私は今日ヒイラギさんと一緒に飲みましたよ?」


 ここでイリスが不意に爆弾を投下……


「ちょっと!?ワタシ達を差し置いて、それはいったいどういうことかしら!!」


「詳しく説明がほしいねぇ~ヒイラギ?」


「い、いや……芋酒どれにしようか迷ってたら、親切な店員さんが試飲させてくれたんだ。それでたまたまイリスもその場にいたから…………。」


 嘘偽りなく本当のことを話すと、ランとドーナの二人はジト目でこちらを見つめてくる


「ふぅん……なら今日の夜はワタシ達とも一緒に飲んでくれるのよね?」


「へっ!?」


「当たり前……だよねぇ?」


 不味い状況になってしまった。


「あ、その……ほ、ほら!!明日は朝早くに出発だから……次の日にお酒が残ってたら大変だぞ?」


「そんなこと心配しなくても大丈夫よ。」


「だってそこにある実を食べれば……ねぇ?」


 ドーナが指差したのは神華樹だ。今は小さい果実と花がついている。


「う……そ、それは。」


「今日の夜は宴会なんでしょ?お酒を飲んで〜パーッと楽しみましょうよ?」


「アタイもランに同意だよ。」


 そういわれてしまっては何も言い返せないな。美味しい料理には美味しいお酒が合う。


 それに宴会は楽しんでなんぼだ。


「はぁ……わかった。その代わり、飲み過ぎるんじゃないぞ?」


 ラン達に正論をぶつけられ、俺はしぶしぶ二人の飲酒を承諾したのだった。

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