ミクモの正体
平原から帰ってきた俺達は、市場にある魔物肉専門店を目指して歩いていた。
「やっぱりここの市場は広いねぇ~。」
「あぁ、シュベールの市場も大きかったが、ここは段違いに大きいな。」
流石は獣人族の王都の市場だ。
「見えてきたぞ。」
肉売り場をしばらく歩くと、魔物肉専門店の建物が見えた。
やはり他の建物とは造りが変わっているため見つけやすい。
「なんか……ここもあれだねぇ。シュベールのジュエルサーモンを売ってた店と同じ感じがするよ。ちょっと浮いてるって言ったら良いのかねぇ。」
「まぁ確かにな。」
あそこも市場ではかなり浮いていた。扱っている物が高級品という点では、ここもシュベールも同じだな。
「さて、今日はジルはいるかな?」
魔物肉専門店の扉を開けて中へと入った。
すると、奥から燕尾服を着たジルではない獣人の店員がこちらに歩いてきた。
「いらっしゃいませ、本日は何をお探しでしょうか?」
「今日はジルはいないのか?」
「店長でしたら裏の解体場の方におりますよ。」
「案内してもらってもいいか?」
「かしこまりました。」
店員の後をついていき、解体場へと案内された。そこには解体師のグリズ達と、少々興奮ぎみなジルがいた。
「店長!!お客様です。」
「おぉ!!これはこれはヒイラギ様……ご来店ありがとうございます。」
「ずいぶん楽しそうだな?」
「えぇ!!それはもうサラマンダーの解体を始めてからというもののこの老体常に昂っております。」
以前見たジルよりも明らかに生き生きとしているな。心なしか…少し若返っているような気もする。
「おっと!!失礼いたしました。ついつい興奮が抑えられず……。それで本日はどのようなご用件でしょうか?」
「忙しいとこ悪いんだが、魔物の解体を依頼したいんだ。」
「ほっほっ!!お任せください。それで何の魔物でしょうか?」
「こいつだ。」
俺はバッグからミストゴートを取り出してジルの目の前に置いた。
すると、ジルはミストゴートを見て目を見開いている。
「こっ、これは!!ミストゴートではないですかな!?」
「多分そうだと思うが。」
ミストゴートを見て、再び興奮のボルテージが戻ってしまった様子のジル。
どうやらこのミストゴートって魔物は少々特別な魔物らしいな。
「こいつ珍しいのか?」
「珍しい何てものではございません!!私の記憶が正しければ…最後にミストゴートが市場に出回ったのは
「なんだって!?」
100年前っていったら、それこそ三種族が共存していた時代じゃないか。
いや、待てよ?そうなってくると、そもそもミクモがなんでこいつの毛を持っているんだ?
「ちなみに、そのミストゴートを討伐した人の名前って分かるか?」
「それはもうこの国では有名な方でございますよ!!現国王の
ミクモの奴……そんなに凄い人物だったのか。彼女の言動には色々と不思議なところがあったが、ようやく合点がいった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます