文明の利器…圧力鍋
肉にハチミツをもみこんで30分が経過した。そろそろいい頃合いだろう。
ハチミツ漬けの肉をボウルの縁に擦り付け、なるだけハチミツを落としてから圧力鍋の中へと入れていく。
「後は醤油、味醂、酒、砂糖とおろし生姜を入れて蓋を閉めて……よし。」
ガチッとしっかりと圧力鍋の蓋がはまったのを確認して火にかける。最初は強火で鍋からプシュプシュ音がしてきたら弱火に落とす。
そして火にかけること10分ほどで……。
「ひ、ヒイラギさん!!お鍋が怒ってますよ!?」
「これはそういう鍋なんだ。」
イリスは圧力鍋を初めて見た人がするであろう反応をきっちりしてくれた。
「お、怒る鍋があるなんて…あの世界の人間さんは凄い物を生み出しますね。」
「ちなみにこれは怒ってるわけじゃなくて、蒸気を出しているだけなんだ。」
「ほへっ?」
ポカン…とするイリスに圧力鍋というものをしっかりと説明した。
「なるほど、怒ってる訳じゃなかったんですね。」
「そうだ。音が鳴ってるのは十分に鍋の中が加圧された証拠。気を付けてほしんだが、ここにあるピンが下にしっかりと下がるまで絶対に触らないようにな?」
「わかりました。気を付けますね。」
圧力鍋は手軽に煮込み料理を作ることができる便利な道具だが、扱いを一つ間違えるだけでとんでもない凶器にもなりうる。
特に鍋の中が加圧されている間は危険だ。蓋などに迂闊に触れて、隙間ができてしまうと大爆発を起こす危険性もあるのだ。
そして弱火にしてからしばらく経ったので、鍋に水をかけながら圧力を抜く。この方法は鍋を傷めてしまうことがあるので、あまりおすすめはしない。
手っ取り早く圧力を抜きたいときだけ使うといい。
それからまた数分すると…。
「あっ!!ヒイラギさんピンが下に下がってますよ。」
「あぁ、このぐらいだったら大丈夫。」
ゆっくりと圧力鍋の蓋を開けた。急に開けると熱い水蒸気に晒されて、顔面が火傷してしまう可能性があるから注意だ。
そして中のロックリザードの肉の様子をみて、あることを確信する。
「これは…間違いないな。」
「どうしましたか?」
「このロックリザードの筋の部分は全部
これは女性陣が喜びそうだな。
コラーゲンというものがどういう物か、イリスはいまいちわかっていなさそうだが、それは食べるときにゆっくり説明してあげよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます