シンとの模擬戦
「むっ!?そんな小さな剣で良いのか?」
体の大きさに釣り合った大剣を手にしたシンが俺に問いかけてきた。
「あぁ、慣れてない武器を使うより普段から使い慣れているこういうのが一番いい。それに俺は基本武器は使わないんだ。」
「そうか、ヒイラギがそれで良いなら構わんが…。」
そしてシンは大剣を構えこちらに向き直る。どうやら納得してくれたようだ。
「ではゆくぞ。」
「あぁ、来い。」
俺はある一瞬に全神経を集中した。シンが体重を前に倒し右足を踏み出そうとした瞬間、俺は地面を蹴った。彼の右足が浮きかけた刹那、その上から足を踏んで動きを封じ、短剣をシンの首に押し付けた。
「ッ!?」
「ほい一本。」
あまりに一瞬の出来事で、シンは何が起こったのかわからなかったようだ。それは周りで観戦していた兵士も同じだったらしい。
俺がやったことは至極単純…距離を詰め、相手が踏み出そうとしていた足を踏んづけた。ただそれだけだ。
この技は武器を携帯している際に大きな効力を発揮する。最速で距離を詰め相手の出鼻を封じ、一撃で仕留めるのだ。
「む、むぅ…油断したつもりは無かったのだがな。」
「これはいわゆる初見殺しの技だ。油断していなくても防ぐのは難しいさ。」
「なかなかエグい事をするな。」
「まぁこういう技もあるって見せたかっただけだ。悪かった。」
「フフ、謝礼よりも今一度立ち合ってはくれまいか?」
俺の謝罪を聞いたシンは笑いながらそう言った。シンもまだ力を出しきっていないからな。今度は彼に全力を引き出してもらおう。
「あぁ、もちろんだ。」
そして再び俺は彼と距離をとり、向き合った。
「じゃあ今度は俺からいくぞ。」
縮地でシンの間合いまで一気に距離を詰める。すると上から風を切る音と共に大剣が振り下ろされた。
振り下ろされた大剣を短剣の腹で受け止め、傾け力を流す。それによって、ズガァ!!という爆音と共に地面に大剣が叩き付けられて、一気に土埃が舞い上がる。
追撃を加えようとすると、シンは大剣で土埃をさらに巻き上げて視界を奪ってくる。
(上手い。)
流石に場慣れしているようだ。
そしてシンは土埃の中から大剣で鋭い突きを放ってきた。視界を封じてからの攻撃…しかもいいところを狙ってくる。
その突きを身を翻して躱し、一旦距離を取って構え直すと、舞い上がった土埃の中から大剣を担いだシンが現れた。
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