リリンによる説得の結果


 メイド達に料理を運んでもらって、俺とイリスはドーナ達を迎えに行くことにした。


「はぁ、嫌な予感しかしないんだよなぁ~。」


 調理を始める前にリリン達がドーナ達を説得しに行ったことを思い出して憂鬱になる。何も起きないなんてことはありえないんだよなぁ。


「まぁまぁ、そんなに落ち込んでいても仕方がありませんよ?」


「そうだよな。少しでもいい方向に転んでることを祈るとするよ。」


 とぼとぼとメイドの後に続いてドーナ達の部屋の前に着くと何やら話し声が聞こえてきた。


 メイドさんがトントンと部屋をノックし、声をかけた。するとゆっくりと扉が開き、ひょっこりとランが顔を出した。


「あらヒイラギ?もう料理は作り終わったの?」


 予想とは裏腹に、ランの様子は普段と何ら変わらない。


「あぁ、だから迎えに来たんだ。」


「そうだったのね、みんな~?ご飯の時間らしいわよ~。」


 そうランが声をかけると、部屋の中にいたみんなが動き始め、シアが真っ先にこちらに飛び込んできた。


「えへへ~、料理作ったあとのお兄さん…いい匂い~。」


 グリグリと顔を押し付けながら匂いを嗅ぐシア。ぽんぽんと頭を撫でていると、もう一人飛び込んでくる者がいた。


「シアちゃんズルいよ!!ボクもヒイラギさんの匂い嗅ぎた……ごほん。ボクもくっつきたい~!!」


 そう言いながら飛び込んできたのはフレイだ。本音が駄々漏れだったのは気にしないでおこう。


「ヒイラギはに人気だねぇ~。」


「そうよね、に懐かれてるわね。」


 ん?何か二人の言い方が変だった気がするが気のせいか?妙にという言葉を強調していた気がする。


 そして最後にリリンがライラと共に部屋から出てきた。


「リリン、いったいどんな説得をしたんだ?」


「簡単よ?ってモノを教えてあげただけ。」


 フフフ、とリリンは笑いながらそう答えた。


 うん、なんだろうなこの胸騒ぎは……。ま、まぁ今はドーナとランの二人を説得できたから良しとするか。

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