宴会へ向けて


 十分な食材を確保した後に食料庫を後にした。そして王宮の外の広いスペースに案内してもらい、ハウスキットを出現させる。


「おぉ!!ベルグから聞いてはいたが不思議な建物だな。」


「じゃあ俺は中で料理を作ってくるよ、二人はどうする?」


「では我は宴会の準備を見てこよう。」


「私は今のうちにヒイラギのお仲間に話をつけてこようかしらね。」


 二人は各々別のことをするようだ。シンの方は心配なさそうだが…リリンは不敵な笑みを浮かべながら何かを企んでいるらしい。


「リリン、頼むから穏便にな?」


「わかってるわよ。ライラにフレイも出てきなさい?一緒に行きましょ?」


 その言葉でライラとフレイがバッグから飛び出した。


「ん~、意外とこの中も居心地わるくなかったんだけどなぁ~。ヒイラギさんのそばにいれるし……。」


「妹様、これからの為です。」


「う~、わかってるよ。ヒイラギさんまたね~。」


 ライラとフレイはリリンの後に続き王宮の中へと入っていった。そのまま何も問題が起こらないといいんだが…。


 みんなのことを見送ってハウスキットの中へと入り、コックコートに着替え厨房へと向かった。すると、ある人物が俺を待ち構えていた。


「お待ちしてましたよ♪」


「イリス、手伝ってくれるのか?」


「はい!!とはいっても何かお手伝いできることがあれば……ですけど。」


「ありがとう。それじゃあイリス、前に野菜をちぎって水で洗ったのは覚えてるか?」


「もちろんです。」


「じゃあこの野菜をちぎって水で洗ってくれないか?」


「わかりました!!」


 そしてイリスは葉野菜をちぎる作業を始めた。鼻歌を歌いながらやっているところをみるに、楽しみながらやってくれているようだ。


「よし、俺は切りものを終わらせるぞ。」


 玉ねぎ、トマト、じゃがいもを水で洗って切り分けていく。玉ねぎは極薄にスライスして水にさらし、辛味を抜く。

 じゃがいもは櫛形に切ってデンプンを抜くために水に浸けておく。トマトも櫛形に切って並べておく。


「これで野菜の切りつけは終わりだ。」


 次は塊の肉を切り分けよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る