王宮の冷蔵庫
シンに案内されて、今日の宴会のために集めたという食材を見にやってきた。食糧庫は王宮の厨房のすぐ隣で、動線が考えられてるいい設計だと思う。
「ここが食糧庫だ。」
シンが食糧庫の扉を開けると、中からひんやりと冷たい冷気が出てきた。どうやら中は何らかの方法によって冷やされているらしい。
「冷えるだろう?少しでも食材を長持ちさせるために、大きな
「魔石?」
「ヒイラギは魔石を知らぬのか?」
「あいにくそういう知識が疎くてな。」
日本の知識はあるんだがな……なにぶんこっちでは知らない事の方が多すぎる。いつかちゃんと勉強しなければならないな。
「魔石とは魔力を豊富に含んだ土壌で採掘される鉱石だ。」
「その魔力の純度が高いものほど、その効果も高いのよ。」
そう二人が俺に教えてくれた。
「さっきここに使っているのは氷の魔石と言っていたが、他にもいろいろな魔石があるのか?」
「あるわよ、ほかにも火に水に雷に……珍しい物だと2つの属性が混ざりあった物もあったりするわ。」
「うむ、混ざりあった物はとてつもなく高価だがそのぶん汎用性が高いのだ。」
そんなものまであるのか……。この世界は珍しい物ばっかりだな。
「さぁ、中へ入ろうぞ。」
そしてシンは冷気漂う食料庫へと入っていった。俺とリリンも後へ続き中へと入る。
「ちょ、ちょっと!!ここ冷えすぎじゃない!?」
リリンは自分の体を抱きしめて、ガチガチと歯を鳴らしていた。俺は冷凍庫とかの棚卸しをする際、中に長時間いたこともあるのでこれくらいは別になんともない。
「だから言ったではないか、大きな魔石を使っていると。ほらちょうどあそこにはまっているのが、その魔石だ。」
シンが壁を指差した。そこには冷気を発し続ける青白く透明で、巨大な石がはめこまれていた。
「これは大きすぎよ!!こんなに大きな魔石見たこと無いわ。」
「ムハハ!!なんといっても我が国で一番の大きさを誇る魔石だからな。」
フフン……誇らしそうに彼は胸を張る。一番大きい魔石が冷蔵庫がわりに使われてるのか。
もっと別な使い方はなかったのだろうか?まぁ料理人というか、俺の観点から見れば悪くはない選択だとは思う。
「さぁ、ヒイラギ。ここにあるもの、何でも好きなものを使うといい!!」
そしてシンがバッと体を広げ、冷蔵庫全てを指し示すように言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます