吸血鬼の習性とヒイラギの運命
シンの協力も得られ、ホッと一安心していると彼の腹から……。
ぐうぅぅぅ……。
「むっ!?そういえば飯がまだだったな。今宵はヒイラギの作る飯で宴会を開く故、間食も食っていなかった。」
ここで1つ疑問に思ったことがあるので、聞いてみることにした。
「リリンは普通の食事もするのか?」
「えぇ、まぁ栄養にはならないから嗜む程度だけれどね。味とかはちゃんとわかるわよ。」
「そうなのか。」
意外だったな、血以外には興味がないと思っていたんだが……。
「生き血を提供することは出来ないが、リリンも此度の宴会に来るか?」
「えぇ、行かせてもらうわ。血のことなら心配しなくて大丈夫。ちゃんと後で自分の従者からもらうから。」
まぁ、お互い話したいこともたくさんあるだろうし、いい機会だな。
そう楽観的に思っていると思わぬ白羽の矢がたった。
「もちろんヒイラギはフレイに血を提供してくれるわよね?」
「ん!?あの古城でフレイに提供したじゃないか。」
「あれは体力の回復のための吸血よ?お腹を膨らませるための吸血もお願いしたいのよ。」
(吸血に種類があるなんて聞いてないぞ!?)
「私達吸血鬼は一度お気に入りの血を見つけたらそれから離れられないのよ。他の血が不味く感じちゃうからね。私がライラからずっと血をもらっているのもそれが理由なの。」
待て待て待て……まさかフレイは俺の血を気に入ってしまったってことなのか?
あの時はきっと、体力回復に夢中でたまたま夢中になってただけだよな?
そ、そうだ‥きっとそうに違いない。そう自分に言い聞かせていた。
その時、バッグの中からじー……っと視線を感じた。中を覗くように見てみると、フレイが口元から涎を垂らしそうにしながら、こちらをじっと見つめていた。
「その中でフレイったらあなたの事ばっかり話してたのよ?随分気に入られたみたいねぇ?」
クスクスとリリンは、いたずらっぽく笑う。
「むっ?むっ?いったい何の話をしているのだ?」
「気にしないでくれ……。」
何がなんだかわからずにいたシンにそう言って、一つ大きくため息を吐き出した。
「さて、気を取り直して……早速準備をするから、食材があるところを見せてくれないか?」
「うむ、もちろんだ。では行こう。」
そして俺はリリンと共にシンの後に続いた。今は料理をして現実を忘れたい気分だ。
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