ライラとの和解


 再び扉がノックされ、向こう側から声が聞こえた。


「私だけど、入るわよ。」


 ガチャッと扉を開けてリリンとライラが入ってくる。


「あら?フレイ、もう酔いはさめたのかしら?」


「うん、もう大丈夫だよ。今ヒイラギさんにその事で謝ってたところなんだ。」


「そうなの、自分から謝りにいくなんて偉いじゃない。流石は私の妹ね。」


「そうやってお姉さまはいつもボクを子供扱いしすぎなんだよ!!」


 そうプンプンと怒りながらフレイはリリンに抗議しているが……。


 うん、そういう仕草がまだまだ幼いんだよな。これじゃ子供扱いされても仕方がないような気もしないでもない。


 そしてフレイをなだめたリリンはこちらを向いて言った。


「さて、ヒイラギ…少し話したいんだけどいいかしら?」


「あぁ、構わない。」


「それじゃあついてきてくれる?フレイは、ここでライラの妹と遊んでなさい。目を離しちゃダメよ?」


「わかったよ、お姉さま。」


 シアにすぐに戻ると伝え、リリンの後に続いて部屋を出た。するとライラが俺に話しかけてきた。


「人間、今回はすまなかった。」


「ん?シアのことか?まぁ、あんたはシアの姉なんだろ?その気持ちを考えたらな…もう怒る気にもならないさ。それと俺は人間って名前じゃないぞ?ヒイラギっていうちゃんとした名前がある。」


「…そうか。ヒイラギ、お前ほどの猛者ならば妹を預けていても安心だ。これからも守ってやってくれ。今の妹には私は必要ないみたいだからな。」


「あぁ、言われなくてもきっちり守るさ。」


 と、俺達の一連の会話を隣で聞いていたリリンはクスリと笑う。


「そっちも仲直りできたみたいね、それじゃあ行きましょ?」


 そして案内されたのは、今までの部屋とは違う大きな扉の部屋だ。


 その部屋の中には大きな円卓があった。もとは会議室か何かだったのだろうな。


「まぁ適当なところに座って、あぁライラ…紅茶二つ持ってきてくれる?」


「かしこまりました。」


 とりあえずリリンが座ったところの正面の椅子に腰かけた。程なくしてライラが紅茶を運んでくる。


「ありがとう。さて、それじゃあ始めましょうか。」


「あぁ、そうだな。」


 そしていよいよリリンとの会談が始まるのだった。

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