戦場は目前に…


 再び駆け始めると、ドーナたちが口々に言った


「それにしてもこんなものまで用意してるとはねぇ。」


「それだけ敵も本気ってことなのかしら?」


「さぁ、どうだろうな。」


 この結晶が貴重で数が少なく、絶対に勝ちたいときの切り札として敵が扱っているのなら……敵はランの言った通り本気なのだろう。


 だがもし、いくつもある消耗品のようなものだとしたら……。

 


「……今は考えるよりも先を急ごう。」


「そうね。」


 先を急ぐこと30分ほどで、遠くの方から武器を打ち合う音と、さまざまな声が入り混じって聞こえ始めた。


「近い……ここから飛び出したんじゃ周りの状況は把握できないな。どこかいいところはないか?」


 走りながら周りをキョロキョロ見渡す。


「あそこからなら見えるか?」


 少し行った先に小高い丘を見つけ、ひとまずそこへ向かうことにした。ここまで来ると魔物の数がとんでもない。一匹一匹相手にしている時間はない……まとめて片付ける。


「サンダーブレス!!」


 両手からサンダーブレスを放出し、目の前に犇めいていた魔物を一気に消し飛ばす。切り開けた道を一気に進み、丘の頂上に立った。


「よしっ、ここなら見渡せる。」


 声のする方角を眺めると、一つの街を背にして戦う獣人族の兵士達が確認できた。それと同時に戦っている獣人族の倍以上の魔物の姿も確認することができた。


「なるほど、こいつは不味いな。」


「圧倒的な数の魔物ね。獣人族も頑張っているけど、このままじゃ時間の問題。」


「間違いないねぇ。」


 膨大な数の魔物を見下ろしながら、俺は二人に問いかける。


「二人とも、覚悟はできてるか?」


「もちろんよ!!」


「大丈夫だよ。」


 と、二人は笑って見せてくれた。まったく心強い……。


「あっちについたら俺が一気に魔物を片付ける。そのあとは掃討戦だ。いいな?」


 二人はすぐにコクッとうなずき理解してくれた。


「さて、じゃあ行くか!!」


 

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