終わりの見えない戦い
獣人族side
「今こそ好機だ!!力を振り絞れ!!」
「「「オオォォォォォォ!!」」」
オレは共に戦っている部下達を鼓舞した。死の軍勢が攻めてきてもう一週間が経っただろうか……未だに奴らの勢力は衰えない。
昼夜関係なく、ぶっ続けで戦い続けているため少しずつ部下達は疲弊し、それによって犠牲者も出始めている。
(いったい、いつまで戦えばいいんだ。)
終わりの見えない戦いにオレ自身少しずつ消耗してきていた。
「ギイィィィ!!」
「くっ!!」
しかし戦場では少しの気の緩みが死に直結する。今も少し集中がきれた瞬間に魔物に襲われ、とっさに剣で受けたが衝撃でのけぞってしまった。
「隊長!!」
「ぐッ、心配ないッ!!今は目の前の魔物に集中しろ!!」
「りょ、了解!!」
こちらを心配している部下にそう言い聞かせた。
「ギッギッギ♪」
攻撃でのけぞらせたことで魔物が調子にのり笑っている。気味の悪い笑い声だ。
「ふぅ~…調子に乗るなよ!!」
大きく息を吐き、強く剣を握りしめスキルを使った。
「剣技 エアロスラッシュ!!」
剣を横凪ぎに振り真空の刃を魔物に向かって飛ばした。目前の魔物の首を落として尚、勢いが衰えない斬擊は首が落ちた魔物の後方にいた何匹かの魔物も切り裂いてゆく。
しかし、倒したのはたかだか数匹…すぐさま倒れた魔物を踏みつけながら別の魔物が前に詰めてくる。
「ふぅ、少しは休ませてほしいもんだ。」
頭がズン……と重い。そろそろ魔力切れが近い兆候だ。もともと魔力が低いオレたち獣人には魔法やスキルが不得意。
エアロスラッシュの消費魔力は約20。対して俺の魔力は200が満タンだ。今日はもうさっきのを含めて7回も使っている。
単純に計算すれば残りの魔力は60だが、スキルを使う際に込めた力に応じて魔力を消費するため毎回必ず20というわけでもない。
「後一回だな。」
魔力切れによる頭痛を起こしながら魔物と戦闘などできるはずはない。だが、少しでも魔力が残っていれば耐え難い頭痛にさいなまれることはない。
「後一回でまだこの数を相手にしなきゃいけないのか。」
眼前に広がる数えきれないほどの魔物の大軍。純粋な剣の腕には自信はあるが、物理攻撃に耐性がある魔物が複数出てきたらそこでオレは終わりだな。
「さぁて……次はどいつが相手だ?」
絶望が目の前に広がる中、剣を再び強く握りしめ魔物と対峙した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます