異変の後で


 シアのステータスを確認した後、ウォータードラゴンは湖へと帰っていった。


 一方の俺たちはというと、異変が過ぎ去った後の市場を確認するためシュベールの街へと向かって歩きだしていた。


「さて、どんなものが見られるかな。」


 前に市場を見に行ったときは、店がほとんど閉まっていたから見るものがほとんどなかった。だが、今回は漁に出ていた船を見たってウォータードラゴンが言っていたから楽しみだ。


 街の中へと入る関所に到着し、ステータスカードを提示すると……。


「あの、ヒイラギ クレハさん…で間違いないですよね?」


「そうですが何か?」


 急に門番の兵士にそう確認されたのだ。


「冒険者ギルドのミノンさんから伝言を預かってます。」


「はぁ、いったいどんな内容です?」


「至急ギルドに来て下さい。大事な話があります。……だそうです。」


 兵士が預かっていた伝言というのは、俺に対しての呼び出しの伝言だった。


 何か俺に用事でもあるのだろうか?まぁ兎にも角にも確認してみないことには、何なのかわからないな。


「わかりました。わざわざありがとうございます。」


「いえ、これも仕事ですので。それではどうぞお入りください。」


 そしていざ街の中へと入ってみると、そこは以前とは少し様子が違っていた。


「お、なんか以前より活気があるような……。心なしか人通りも多い気がする。」


「これこそシュベールのあるべき姿さ。活気があっていい街だろ?」


「あぁ、間違いないな。」


 活気づいた街の様子を見て、どこかドーナも誇らしげだ。


「よし、それじゃあまず市場に行ってみよう。先に買い物を済ませないとな。」


「お魚いるかな~。」


「きっとたくさんいるさ。楽しみにしておこうな。」


「うん!!」


 関所から少し歩けば、もう魚の匂いがし始めて大きな市場が見えてきた。前に訪れた時とは違い、市場はかなり人通りが多く、閉まっていた店も今日は全部開いている。


「うん、これならかなり期待できそうだな。」


 いろんな店の品物を物色しながら歩いていると、目的だった一軒の魚屋が見えてきた。


「おっ、あったあった。あそこだ。」


「あら?ここって……前に来たわよね?」


 そう、俺が目指していたのは前に市場に来たときに立ち寄った魚屋だ。

 以前とは違いたくさんの魚が店頭に並べられている。買っていく人も多いようだ。


 接客が落ち着いたところを見計らって、店主に声をかけた。

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