一番魚を捕まえたのは……


 ……ん、少し寝てしまっていたようだ。皆はどうなっているかな。


 ゆっくりと体を起こし、周りを見ると異様な光景が飛び込んできた。


「なんだこれは。」


 目の前にはおびただしい数の魚が岸にうちあげられていた。10匹や20匹ではない、その倍以上の数はいるだろう。


「あっ!!お兄さん起きた!!」


 シアがこっちに走ってくる。


「お兄さんシアが1番だったの!!」


「おぉ、頑張ったな。おめでとう。」


「えへへぇ~♪やったぁ~。」


「まさかシアに負けちゃうなんてね。」


「全くだよ。獣人族の才能ってやつを味わった気がする。」


 この二人が負けたのは意外だったな。


 さて、グレイスは何をしているだろうか。辺りを見渡して、彼女のことを探してみると……。


「この魚美味しいっす~♪」


 グレイスは、川の畔でバリバリと骨ごと魚を噛み砕き食べていた。


 生で大丈夫なのだろうか……。まぁ、ワイバーンだから胃袋が丈夫なのだろうな。


「お兄さん!!シアもおさかな食べたい!!」


「ワタシも動いたからお腹減っちゃったわ~。」


「やっぱり動くと腹が減るんだよねぇ。」


「あっ、あっ!自分もヒイラギさんのご飯食べたいっす!!」


「わかった、それじゃあここらで昼食にでもしようか。」


 とはいえ、まずこの魚をバッグにしまわないとな。鮮度が落ちてしまう。


 地面にうちあげられている魚を、一匹ずつ締めて次々にバッグにしまっていった。


 回収している最中、その中に1m位の大きいヤツもいることに気が付く。これは誰が捕ったのだろう?何か鋭い角もついてるし、もしかしたら魔物なのか?


「鑑定……。」


ソードフィッシュ


・淡水に生息する魔物

・気性が荒く好戦的だが、自分より強い存在には決して近づかない。

・身は白身だが脂がのっており美味。

・生食は不可。


 うん、やっぱり魔物だったな。それにしても白身で脂がのっている……か。今夜にでも使ってみよう。


 そして全ての魚をしまい、ハウスキットを展開する。これがないと料理は始められない。


「さて、やるか。」


「シアもお手伝いする~♪」


「ワタシ達もやるわよ~。」


 と、みんな手伝ってくれる気満々なところ大変申し訳ないのだが……。


「あー、悪いが今回はそんなに手伝いは要らないかもしれないな‥。」


「「「え゛っ……。」」」


「今回はとてもシンプルにいこうと思っててな、やることといったらご飯を炊く位しかないんだよ。」


「それじゃあシアだね!!」


「ず、ずるいわよ~。」


「アタイらも何かしたいんだけどねぇ。」


 ふむ……それなら少し手の込んだ料理を作ろうか。


「わかった。それじゃあ今回は調味料を計る担当と、野菜を切る担当で分けよう。」


 さ、今日からは一人ずつ包丁を握ってもらおうかな。

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