自分メスっす…
「自分
…………は!?
よ~し、それじゃあ名付けは無理だ。これ以上自分の周りを荒らされると本気で困る。
「あー、自分から言っておいてあれだが。俺が名付けるのはちょっと無理だな。すまん。」
「そ、そんなぁ~。」
このワイバーンは凄い勢いで落ち込んでいるが、こればっかりは仕方の無いことなのだ。許してくれ。
「あんたの名前はワタシ達が考えてあげるわ!!それで我慢しなさい!!」
「これ以上ヒイラギに余計なハエがまとわりついても困るしねぇ。」
「ドラゴンさんのおなまえ~♪」
あの~なんかヒートアップしてないですか?ドーナは何かオーラが黒いぞ?
シアはなんだかんだ楽しんでいるようだが……。
そうして三人で数分話し合った結果、このワイバーンの名前が決定した。
「あんたの名前は
「は、はい……大丈夫っす。ぐすん。」
グレイスと名前が決まったが、彼女は少し悲しそうだ。だが、こればかりは仕方のないことなんだ。
「それじゃあ、改めてよろしく頼むなグレイス。」
「はい、よろしくお願いするっす。」
◇
ランside
「さて、ここまで来れば人化を解いても大丈夫ね。」
街からかなり離れたところで人化を解いて、元の姿へと戻る。
「やっぱり全部元通りになってるわ~。ヒイラギには感謝しなくちゃね♪」
レッドドラゴンのやつにボロボロにされた翼も、焦げてた鱗もぜ~んぶ元通り。我ながらほれぼれしちゃうぐらい綺麗になったわ。
「さて、それじゃあ久しぶりに
翼を羽ばたかせ大空へ舞い上がり山脈を目指す。
「前はただお腹を満腹にするためだけに狩ってたけど、ヒイラギのあんなご飯を食べちゃったから、もうあんなの食べれないわ~。」
すっごい血生臭いし、硬いし……なにより美味しくないもの。
そして山脈に近づいていくと目的のものを発見する。
「あっいたいた♪……って、あら?あの子喋れるみたいね。」
遥か上空から山脈を飛んでいるワイバーンの群れを発見し、その内の1体に知性がある個体を発見する。
「エルダーかしら?まぁいいわ。馬よりは役に立つでしょ♪」
そして獲物をロックオンすると群れの前に急降下した。
「こ~んにちわ♪」
「うわわっ!!みんな逃げるっす~!!」
その知性のあるワイバーンは、先頭にいたため逃げるのが遅れてしまった。
「安心しなさい、もうあなた達を食べる気はないわ。美味しくないもの。でもその代わり~、あなたは逃がさない。」
尻尾を伸ばして、逃げようとする知性のあるワイバーンを拘束する。
「ぎゃあぁぁッ!!誰か助けて~っす~!!」
助けを求めるワイバーンだが、すでに蜘蛛の子を散らしたようにワイバーンは居なくなっていた。ただただ意味のない悲鳴が木霊するだけ。
「うんうん、ワタシには圧倒的に及ばないけど、このぐらいの力があれば十分ね♪それじゃあ急いで帰らなきゃいけないから…飛ばすわよ~♪」
「ぎゃあぁぁぁぁッ!!」
尻尾の先でバタバタと暴れているが、それを意に介さず羽ばたきヒイラギのいる街の森を目指した。
そして森につくや否や、ロープでワイバーンを木にぐるぐる巻きに拘束する。
「まぁまぁ、これでいいわね。あ!そうそう、念のため言っておくけど~逃げたら……
「は、はいっす~……。」
殺気をとんでもなくはらんだその言葉に、彼女はすっかり逃げる気がうせてしまった。このままおとなしくしておく事を心に誓う、後のグレイスなのであった。
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