馬の代わりに捕まえられたのは…
歩いて森の中に設置したハウスキットのある場所へと戻ってくると、そこには……。
「ヒイィッ!!殺さないでほしいっす!?」
……ハウスキットの前に生えている太い木に、ロープでぐるぐる巻きに拘束された喋るドラゴンがいた。
「ラン?このドラゴンみたいなのが例の馬の代わりなのか?」
「えぇ、そうよ!!ワタシみたいな上位のドラゴンじゃないけど、知能はあるし役に立つと思うわよ?」
「魔物を連れてくると思ってはいたけど、まっさか
ドーナ曰く、この魔物はドラゴンではなくワイバーンらしい。彼女から説明を受けていると、縛り付けられたワイバーンが必死になって話し始めた。
「自分役に立つんで殺さないでほしいっす!!ほ、ホントにお役にたてるっすー!!」
いったいどんな方法で連れてこられたのだろうか、こちらにとても恐怖しているようだが……。ひとまず誤解から解いていこうか。
「あー、まず勘違いしないで欲しい。俺達は君を殺すつもりはないし、奴隷みたいに使い潰すつもりもない。」
「ほ、ホントっすか?」
「あぁ、しかも1日三食保証する。それに疲れたら言ってくれれば、休息もちゃんととらせるつもりだ。」
俺自身ブラックなのは嫌いだ。貢献してもらうからにはそれ相応の待遇で迎えたい。
「1日三食!?なんでそんなにいい条件なんすか?」
「ん?俺達のために働いてくれるなら、それに対してちゃんとした対価を用意するのは当然だろう?」
「お兄さんのご飯は美味しいんだよ~?」
「う~ん、お兄さんは何か他の人間と違うすっね?てっきり奴隷みたいに使いつぶされるかと思ったっす。」
「俺みたいな人間もいるって事だ。それでどうだ?主に馬車を引いてもらう仕事になると思うが……ついてきては貰えないか?」
そうワイバーンに問いかけると、彼はぶんぶんと勢い良く首を縦に振ってくれた。
「むしろこっちからおねがいしたいっすよ!!そこのヤバいドラゴンに連れてこられたときは、食われることを覚悟したっすけど……楽にご飯が毎日食べられるなら大歓迎っす!!」
「そうか、ありがたい。乱暴に連れてきてしまったようですまないな。」
「いやいや、大丈夫っす。こうして生きてるんで。そういえばお兄さんのお名前は何て言うんすか?」
「俺はヒイラギ、ヒイラギ クレハだ。よろしく頼む。」
「ヒイラギさんですね?こっちこそよろしく頼むっす。」
「そういう君の名前は……って種族名しかないんだったな。」
前にランが言っていたことを思い出した。魔物には基本的に種族名しかないということを……。
「そうっすね、自分は種族名しかないっす。」
「ふむ、ワイバーンだと呼ぶのにすこし不便だな。」
「ならヒイラギさんがつけて下さいっす!!」
満面の笑みでそうお願いしてきたワイバーンに、ランが鬼の形相で詰め寄った。
「あ゛!?あんた、あんまり調子に乗ってると殺すわよ?」
あぁ、ドラゴンは名付けした者と……ってやつかぁ。ランが凶悪なオーラを出してワイバーンを脅している。
「ら、ランひとまず落ち着け。このワイバーンは
そう宥めるようにランに言うと、彼女はワイバーンへとにらみを利かせたまま言った。
「ヒイラギ、何か勘違いをしているみたいね。こいつは……。」
「はい、自分
…………は!?
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