ダンジョンの宝
さて、バフォメットに許可も貰ったからその宝とやらを貰いに行くか。
「もう大丈夫?」
シアがバッグからぴょこんと顔を出した。
「あぁ、もう大丈夫だ。」
すると、シアはぴょんとバッグから飛び出し、腰にギュッと抱き着いてくる。
そんなシアの姿を見てバフォメットが目を細めた。
「むっ?その娘は獣人族か。」
「あぁ、俺が保護している。」
「そうか、奴隷ではないのだな……。昔、よく人間は奴隷の獣人族を肉盾として戦場で使っていたものだ。」
イリスから人間が他の種族を隷属化しようとしていたという話は聞いていたが、そこまで残虐だったのか。
「俺は奴隷とかには興味が無い、そういうのは嫌いなんだ。」
というのも職場でいつも奴隷扱いされていたためだ。あの時はホントに酷かったな。
「うむ、それが良い。それでいいのだ。」
俺の言葉に頷いてくれる辺り、このバフォメットも案外話のわかるやつなのかもしれない。
「お兄さん、その羊さんは悪い人じゃないの?」
少しシアが怯えながら聞いてきた。
「あぁ、むしろいい人だと思うぞ?」
肉体こそ化け物だがな。
「むっ、獣人族の娘よ。安心しろ、我に殺しの趣味はない。」
その凶悪な肉体で言われても普通は説得力は皆無だが……。こいつと戦った者だけがわかる、この言葉は真実だとな。
「で、ダンジョンの宝はこのでっかい宝箱の中に入ってるのか?」
目の前にある巨大な宝箱を見ながら問いかけた。
「うむ、中身は我も知らぬ。今までここに案内したことがないからな。」
てことは俺たちが一番最初の攻略者ってことか……。尚更中身が楽しみだ。
「それじゃあ開けてみるか……いよっと!!」
ギギギという重い音と共に宝箱が開き中身が露になる。みんなで中を覗くとそこには……。
「何かの種なのか?」
そこには俺の手のひらと同じぐらい大きな、何かの種が入っていた。
「クク、また面白いものが出てきたな。鑑定してみるといい。」
どうやらバフォメットのやつは、この種が何かをわかっているらしい。
まぁ試しに鑑定してみようか。
「鑑定。」
神華樹の種
・清い心の持ち主しか育てることができない神樹。
・神が宿るとされている。
・その花はどんな病や怪我も治す事が可能。死後間もない者は蘇生も可能である。
・果実はとても美味で1つ食べれば10年寿命が伸びると言われている。
「お~?なんだこれは。神華樹の種?」
「うむ、エルフが育てている世界樹とは比べ物にならんぞ?何せこの世の物ではないからな。」
「この世の物じゃない?」
「その通り、それは神の世界の遺物だ。」
「そんなもの渡されてもなぁ。」
やっかいごとに巻き込まれなければいいが……。一縷の不安を抱えながらも、種をバッグの中にしまうのだった。
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