ダンジョンのボス
みんなお腹もいっぱいになって元気が満タンに充填されたところで……。
「よし、それじゃあボスに挑もう。」
「えぇ!!速攻で倒してやるんだから。」
「アタイも頑張るよっ!!」
やる気を高めるドーナとランの二人。
「シアは一応この中に入っててもらっていいか?」
「うん!!」
怪我をさせるわけにはいかないからな。念のためだ。
そしてシアがバッグに入ったことを確認した後、三人で作戦会議を始めた。
「今回は俺が前線で引き付けるから二人は隙を見て攻撃してくれ。」
「「わかった。」」
「無理した攻撃はしなくていい、怪我をしないように安全にいこう。」
そして、三人で扉の前に立つと、まるでこちらを誘うように巨大な扉が自動で開き始めた。
中はとても暗いな……明かりはないようだ。
足並みを揃えて中へ入ると、壁際にあった松明に一気に火が点った。ボス部屋の中央には、羊の顔の巨大な化け物が玉座に座り俺たちを待ち構えていた。
「100年ぶりの挑戦者か……よくここまでたどり着いた。」
「喋れるのか。」
「クク、我をそこらの有象無象と比べるでないわ。それにしても貴様……随分不思議な奴だな、この世界の人間ではないな?」
「ふむ、なぜそうだと思う?」
「この世界の人間とは色が違うからな。」
この化け物はそんなことまでわかるのか。なかなか侮れなさそうだ。
警戒を強めていると、羊の化け物はゆっくりと立ち上がる。
「さぁ無駄話はここまでだ、この先の宝が欲しいのだろう?ならば我と存分に死合おうぞ!!」
「あぁ、そうしよう。二人とも行けるか?」
「もちろんよ!!」
「大丈夫だよ!!」
「よし、行くぞ。」
俺は二人を後衛にして、縮地で化け物との距離を詰めた。
「ふむ、奇妙な技だ。」
「楽しませてやるさ。」
俺と羊の化け物は、お互いに必殺の距離になると激しい打ち合いが始まった。
◇
ドーナ&ランside
「な、なんて打ち合いだい!?」
「こんなの入り込めないわよ!!」
目の前でヒイラギと羊の化け物が打ち合っている。正確には羊の化け物の攻撃を、ヒイラギが全て流し、弾き飛ばしている。
「クク、面白いぞ!!貴様とはいい戦いができそうだ!!」
「あいにく俺は戦闘狂じゃないんだ、本職は料理人なもんで……なッ!!」
ヒイラギが羊の化け物の攻撃を弾き、胴体ががら空きになった。
「「今ッ!!」」
作り出された大きな隙を逃さず、二人でがら空きの胴体へ渾身の一撃を放った。
しかし……。
「ふむ、タイミングはいいが……。ちと力不足だな、フン!!」
「うあッ!!」
「キャッ!!」
あろうことか、二人は羊の魔物の気合いだけで弾き飛ばされてしまった。二人が体勢を立て直す時間稼ぎをしながら、ヒイラギは二人に声をかける。
「ドーナ!!ラン!!今出せる全力の一撃をもう一回くれ!!」
二人はアイコンタクトで確認しあい、次の攻撃に全てを懸ける決意をするのだった。
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